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被害届・告訴・告発の不安や悩み
第1 被害届・告訴・告発の不安や悩み
「被害者から連絡が来て,昨日警察に被害届を出されてしまった」
「被害届が出された場合,今後どのように捜査が進んでいくのだろうか」
現在このような悩みをお持ちの方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも被害届と告訴と告発って一体何が違うの?
被害届が出された場合,すぐに逮捕されてしまうの?
被害届が出されたとしても必ずしもすぐに逮捕されるとは限りません。今回は,被害届・告訴・告発の違いや被害届・告訴・告発された場合の捜査の流れやその対応について解説します。
第2 被害届・告訴・告発とは
1 被害届
被害届は,何らかの犯罪によって被害を受けたことを捜査機関に知らせる書類のことをいいます。
2 告訴
告訴とは,犯罪の被害者その他一定の者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。
3 告発
告発とは,告訴権者及び犯人以外の第三者が,捜査機関に対して犯罪事実を申告し,犯人の処罰を求める意思表示のことをいいます。
第3 被害届・告訴・告発の共通点,相違点について
1 共通点
被害届・告訴・告発は全て捜査機関に対してある犯罪事実を知らせるものであり,捜査のきっかけとなるものです。
2 相違点
(1)主体について
①被害届の場合
犯罪の被害者
②告訴の場合
犯罪の被害者やその法定代理人,被害者死亡などの場合は一定の親族
③告発の場合
告訴権者及び犯人以外の第三者であれば誰でも可能
(2)手続きについて
①被害届の場合
実務上は,警察官が被害者の話を聞いたうえで書類を作成し,その書類に被害者が署名押印します。
②告訴・告発の場合
司法警察員(巡査部長以上の階級の警察官)又は検察官に対して書面又は口頭で行います。もっとも,実務上は告訴・告発状を作成,提出することが多いです。
(3)処罰感情の有無
①被害届
被害届は捜査機関に何らかの犯罪により被害を受けたことを伝えるにとどまり,犯人の処罰を望むものではありません。
②告訴・告発
告訴は捜査機関に何らかの犯罪により被害を受けたことを伝えるにとどまらず,犯人の処罰を求めるものになります。
第4 被害届・告訴・告発への対応方法
1 被害届・告訴・告発が出される前
被害者の連絡先が分かる場合は,被害届・告訴が出される前に,被害者と示談交渉を行い,被害届・告訴を行いないことを約束させたうえで,示談を成立させる方法があります。これにより捜査機関が介入することなく事件を解決させることができます。
2 被害届・告訴・告発が出された後
(1)取調べ対応
捜査機関からの呼び出しにより事件について取り調べを受けることになります。取り調べにあたってどのような対応をすべきなのかについては,事前に弁護士に相談することが重要です。弁護士に相談することで取り調べにおいて適切な対応をすることができます。
(2)身柄解放に向けた活動
被害届・告訴・告発により,場合によっては逮捕され身柄が拘束されることがあります。身体拘束が長期化すると,会社や学校に行けなくなりますので日常生活に多大な影響が生じることになります。このような影響を最小限に抑えるためには,弁護士に相談し早期の身柄解放活動を行うことが必要になります。
(3)示談交渉
有利な処分の獲得や早期の身柄解放を目指すには,被害者と示談交渉をしていく必要があります。もっとも,当事者同士で示談交渉を行う場合,以下の問題が生じることになります。
まず,被害者と面識がない場合には,被害者の連絡先を知らず,捜査機関も被害者の連絡先を本人に教えることはまずないことから,示談交渉を行おうにも行うことができません。もっとも,捜査機関は弁護士からの依頼であれば被害者からの許可を得たうえで連絡先を教えてくれますので,このような場合には弁護士に相談することが必要になります。
また,仮に被害者と面識があり,連絡先を知っていた場合であっても,当事者同士で示談交渉してしまうと,どうしても感情的になってしまい,その結果示談がまとまらず,より被害感情が悪化する場合さえ生じることも考えられます。弁護士が本人の代理として被害者と示談交渉を行うことで,被害者も冷静さを保ちながら示談交渉に応じることができ,結果として無事に示談が成立する可能性が高くなります。
第5 被害届・告訴・告発に関して不安や悩みがある方は
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横浜支部 支部長 弁護士
國武 優