覚せい剤取締法違反事件で保釈を求めたい②
- 2020年5月28日
- コラム
覚せい剤取締法違反事件で保釈を求めたい②
覚せい剤取締法違反事件で保釈を求めたい場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【事例】
神奈川県茅ヶ崎市に住むAさんは、数年前からインターネットを通じて覚せい剤を購入し、自分で使用していました。
しかしある日、Aさんが覚せい剤を購入していた売人が神奈川県茅ヶ崎警察署に逮捕されたことをきっかけとしてAさんにも捜査の手が伸び、Aさんも覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんの家族は、突然の逮捕に驚き、どうにかAさんの身柄解放ができないかと困っています。
そこで、Aさんの家族は覚せい剤使用事件にも対応している弁護士に相談し、保釈も見据えた身柄解放活動を開始してもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)
【覚せい剤取締法違反事件では保釈が重要?】
前回の記事で触れた通り、Aさんの事例のような覚せい剤の所持・使用に関わる覚せい剤取締法違反事件では、多くの場合、逮捕・勾留された上で捜査されます。
これは、覚せい剤自体が隠滅するのに容易な物であることに加え、売人などの関係者が多いという覚せい剤取締法違反事件の特徴によります。
そのため、覚せい剤取締法違反事件では逮捕・勾留されることが多く、まだ起訴に至る証拠が揃っていない捜査中の段階ではなかなか釈放が認められないという事情があるのです。
しかし、身体拘束されたまま裁判の結果が出るまで待つとなると、非常に長期間身体拘束されたままになってしまいます。
逮捕は最大3日間、勾留は延長を含めて最大20日間身体拘束されます。
通常はこの期間を経て起訴・不起訴が決められるのですが、余罪がある場合、ここからさらに再逮捕・再勾留され同じように最大23日間身体拘束されてしまうことも考えられます。
そして、起訴されてから裁判が開かれるまでは通常1〜2ヶ月程度期間が開きます。
そして裁判も事件によって変わるものの、1〜3回程度開かれ、その間は1ヶ月程度開きます。
そうなると、身体拘束されたまま逮捕されてから2〜3ヶ月程度過ごすことになってしまうのです。
2〜3ヶ月も身体拘束されたままであれば、就学先や就業先にも大きな影響が出てしまいますし、家族にも大きな負担がかかってしまうでしょう。
そのため、被疑者・被告人はもちろん、その家族も身柄解放を求めたいと考える方は非常に多いです。
ですが、先ほど触れたように、覚せい剤取締法違反事件では捜査中の釈放はなかなか認められません。
そこで、起訴後に保釈を請求するという手段も見据えて身柄解放活動を行なっていくことが重要なのです。
【保釈の条件〜保釈金について】
保釈は、起訴された後から可能となる身柄解放の制度です。
起訴された後からしか使えないものなので、逮捕された直後やまだ起訴・不起訴が決まっていない段階では使うことができません。
起訴され、被疑者から被告人と切り替わった時点から、保釈を請求することができるようになります。
保釈は、保釈金を担保として裁判所に預け、裁判所から出された条件を守ることで身体拘束を解いてもらうという仕組みになっています。
一般の方のイメージでは、「お金を払えば保釈が認められる」というイメージもあるかもしれませんが、保釈金はあくまで担保であり、保釈の条件をきちんと守って裁判が終了すれば返ってくるお金のため、「保釈を認めてもらう代金として支払っている」というわけではありません。
そして、保釈金の金額は、その人の環境からして担保となり得る金額を裁判所が判断して決められています。
芸能人や社長が莫大な保釈金を払っている報道なども多いですが、たくさんお金を持っている人にとっては高額な金額でないと担保となりえないと判断されているからなのです。
なお、通常は150万円〜300万円程度が保釈金として設定されることが多いです。
ですから、「たくさんお金を払えば保釈が認められる」というわけでもないのです。
では、保釈金以外の保釈が認めてもらうための条件とはなんなのでしょうか。
次回の記事で取り上げていきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、覚せい剤取締法違反事件の身柄解放活動についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
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