いたずらが暴行・傷害事件に発展?
- 2020年6月1日
- コラム
いたずらが暴行・傷害事件に発展?
いたずらが暴行・傷害事件に発展してしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【事例】
神奈川県川崎市中原区在住のAは、川崎市中原区で自営業をしています。
Aは動画投稿サイトに動画を投稿することを趣味にしていました。
ある日Aは動画投稿サイトに投稿する動画のネタとして、街を歩く人たちにいたずらを仕掛け、その反応を見るというものを思いつきました。
そこでAは、神奈川県川崎市中原区の路上で、通行人のVに突然持っていた刺激性の液体の入ったスプレーを吹きかけるといういたずらを行いました。
Vは驚いてすぐに通報し、臨場した川崎市中原区を管轄する神奈川県警察中原警察署の警察官に相談し、被害届を提出することにしました。
スプレーを吹き掛けられたVの顔や腕は赤くかぶれてしまったため、Aは傷害の罪で中原警察署の警察官に逮捕されました。
いたずらのつもりだったにもかかわらず逮捕されるまでになってしまったAは困惑し、家族の依頼で警察署を訪れた刑事事件専門の弁護士に今後について相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
【いたずらが暴行事件・傷害事件に…】
こういったいたずらから刑事事件に発展するということは、もしかしたらイメージできない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ケースのAのような行為は刑法の暴行罪や傷害罪になる可能性のある行為なのです。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪の「傷害」とは、「人の生理的機能を害する事」と定義されています。つまり、傷害罪の「傷害」には体を切って流血してしまったり、骨折してしまったりという分かりやすい怪我だけでないものも含まれるということに注意が必要です。
上記の事案では、Aがスプレーを吹き掛けたことによって被害者Vさんの顔がかぶれてしまっています。
こうした皮膚疾患も「人の生理的機能を害する事」であるため、Aには傷害罪が成立すると考えられるのです。
では、事例のAが仮にVに吹きかけたスプレーが単なる水だったり、運よくVの顔がかぶれるなどの傷害がなかった場合は犯罪にならないのでしょうか。
実は、この場合も単なるいたずらでは済まず、暴行罪が成立する可能性があります。
刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
暴行罪は、人に暴行を加える=他人に対して有形力を行使することで成立します。
有形力というと難しく聞こえるかもしれませんが、殴る蹴るのような直接的な暴行はもちろん、石投げつけるといった間接的な暴行や、耳元で大声を出すといった音による暴行など、幅広く含まれるとされています。
過去の裁判例では、他人に塩を振りかけるという行為も暴行罪の「暴行」にあたるとされた事例も存在します(福岡高判昭和46.10.11)。
そのため、今回のAのようなスプレーを吹きかけるという行為も暴行に当たりうると考えられ、Vが怪我をしなかった場合には暴行罪が成立する可能性があるのです。
たとえ「いたずら」と思って行動したことでも、今回のAの事例のように刑事事件となってしまうことも考えられます。
場合によってはAのように逮捕されてしまうおそれもあるでしょう。
そうなれば、逮捕されてしまった本人はもちろんのこと、その周囲のご家族やご友人も困惑され、大きな不安を抱えられることでしょう。
だからこそ、そういった場面では専門家の弁護士に頼りましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、刑事事件専門の弁護士が逮捕にも迅速に対応いたします。
まずはお気軽にフリーダイヤル0120ー631ー881までお問い合わせください。