殺人未遂で黙秘権を行使
- 2020年7月22日
- コラム
殺人未遂で黙秘権を行使
殺人未遂事件を起こしてしまった場合の罪と、取調べ時の黙秘権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県鎌倉市在住のAは、鎌倉市内の会社に勤める会社員です。
Aには友人Vがいるのですが、ある日鎌倉市内のバーで酒を飲んでいたところ口論になってしまい、つい胸ぐらを掴んだうえで突き飛ばしました。
すると、Aは階段から転倒してしまい、頭部から流血して救急車で搬送されてしまいました。
救急隊員からの通報を受けて臨場した鎌倉市を管轄する鎌倉警察署の警察官は、Aを殺人未遂罪で逮捕しました。
Aは逮捕後すぐに接見に来た刑事事件専門の弁護士に、黙秘権について質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【人を殺した場合の罪】
ケースについて見ると、まず、Aは故意に(わざと)Vに危害を加えていて、かつVは怪我を負っています。
この場合に考えられる罪としては、殺人未遂罪と傷害罪があります。
殺人未遂罪は、刑法199条の未遂犯処罰規定です。
刑法199条は、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。」と定められています。
そして、刑法203条により、殺人罪の未遂は罰すると規定されています。
傷害罪は、刑法204条です。
刑法204条は「人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」と定められています。
殺人未遂罪と傷害罪の違いは、殺人の故意(殺意)があったか否かによります。
殺人未遂罪は、AがVを殺してやろうと思って行為に至った結果、Vが死ななかったことで殺人「未遂」罪が適用されます。
一方で傷害罪は、相手を暴行する故意があることで(結果的にVが傷害を負った場合でも)傷害罪が適用されます。
実際の事件では、殺人未遂罪と傷害罪のどちらを適用するか、という問題があります。
殺人の故意があるかどうか、内心の問題であるため判断が難しいためです。
そこで、事件前の被疑者・被告人の発言や供述、事件当日の行動言動、傷害の程度や態様などによって判断されます。
【黙秘権について】
先ほど、殺人未遂罪が成立する場合について説明致しました。
上記事例では、Aに殺意があったか疑わしいため、殺意の要件を否定して殺人未遂罪の成立を争うことになるかもしれません。
殺意のような人の内面が問題となるケースでは、黙秘権の行使が効果的な場合があります。
というのは、捜査機関は取調べのプロであり、下手な供述は調書における内面の「捏造」につながる危険性があるからです。
ただ、黙秘権を行使せず正直に供述することが、反省の態度として被疑者・被告人に有利な事情となりうるのもまた事実です。
自身のケースで黙秘権を行使すべきかどうかは、法律の専門家である弁護士に聞くのが最適です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件専門の弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件・少年事件を経験して参りました。
逮捕されている事件では、逮捕後すぐに弁解録取や取調べが行われれます。
その際、捜査機関は黙秘権が認められていることを説明はしますが、上述のとおり黙秘権は行使することでともすれば不利益にもなるいわば諸刃の剣であり、捜査関係者もそこまで丁寧には説明してくれません。
よって、すぐに弁護士が接見に行き、黙秘権についてのアドバイスをすることが適切でしょう。
神奈川県鎌倉市にて、殺人未遂などの刑事事件を起こしてしまい黙秘権について知りたい方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
担当事務が、初回接見についての御説明を致します。(初回接見は有料です。)