列車内で痴漢?強制わいせつ?で示談①
- 2020年8月7日
- コラム
列車内で痴漢?強制わいせつ?で示談①
列車内でいわゆる痴漢行為をしたところ強制わいせつ罪に問われた場合の、示談などの弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県相模原市緑区在住のAは、相模原市緑区内の会社に勤める会社員です。
Aは出退勤の際に鉄道を利用しています。
ある日、Aは仕事終わりに疲れて家に帰ろうと列車に乗ったところ、自分の前に好みのタイプの女性Vが立っていました。
Aは疲れて理性が保てなくなり、Vの臀部(お尻)を数十秒間揉みしだきました。
それでもVは抵抗をしなかったため、次にVのスカートをめくり上げ、下着の上から、ついで下着の中に手を入れて、Vの陰部に触れました。
しかし、Vが「辞めてください。」と言い、それを聞いた乗客がAの腕を掴み、相模原市緑区を管轄する相模原北警察署の警察官は、Aを強制わいせつ罪で現行犯逮捕しました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、痴漢行為が強制わいせつ罪に当たるのか、刑事事件専門の弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【迷惑防止条例について】
列車などの公共の場所で他人の臀部や胸などを触るいわゆる痴漢という行為は、基本的に各都道府県の定める迷惑防止条例に違反することになります。
ケースでは神奈川県内での痴漢事件ですので、神奈川県迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。
痴漢で問題となる条文は以下のとおりです。
神奈川県迷惑行為防止条例3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
1項1号 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
同法15条1項 第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
なお、痴漢事件では「女性が気持ちよさそうだった」などと弁解をする方がおられますが、(その真偽は別にして)同意なく相手に触っている時点で痴漢が成立します。
【痴漢で強制わいせつに?】
他人にわいせつな行為をして問題となる罪には、各都道府県の定める迷惑防止条例の他に強制わいせつ罪があります。
強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
刑法176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
わいせつな行為とは、「性欲を刺激、興奮又満足させ、かつ、普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為」とされています。
具体的には、下着の中に手を入れて陰部に手を触れたり、乳房を強く揉んだり、自分の陰部を押し付けたりするようなことがわいせつな行為と評価されます。
また、条文を見ると「暴行又は脅迫を用いて」と書かれています。
ここで言う暴行について、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行であれば足り、強盗罪のように犯行を抑圧するに足る程度に達する必要も、強姦罪のように犯行を著しく困難にする程度に達する必要もないとされています。(条解刑法第3版)
よって、相手を殴ったり蹴ったりといった暴行がなくても、被害者の隙をついたような場合や混雑のため被害者が身動きをとれないような場合にも適用されると考えられます。
【痴漢が強制わいせつ罪にあたることも】
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【示談について】
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