名誉棄損罪②(名誉棄損罪の特例について)
- 2020年8月10日
- その他の刑法犯事件
名誉棄損罪②(名誉棄損罪の特例について)
名誉毀損罪に当たる行為のうち公共の利害に関する場合の特例にあたる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市宮前区在住のAは、川崎市宮前区の会社に勤める会社員です。
Aは、川崎市宮前区にて、とある公的施設にて公務員Vに対していわゆるクレームをつけていたところ、Vから「もういいでしょう」と言って自身の腕を押しのけられました。
Aはこれは暴行だとして川崎市宮前区を管轄する宮前警察署に相談したのですが、警察官は相手にしませんでした。
そこで、Aはビラを作成し、Vの名前と所属部署を明記した、抗議のビラを作って川崎市宮前区内の路上にて配り続けました。
すると、AはVの上司から連絡を受け、「本件で名誉毀損罪の刑事告訴を行います。」という連絡を受けました。
Aは、名誉毀損罪の特例について、刑事事件を専門とする弁護士に無料相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【名誉毀損罪について】
名誉棄損罪とは、公然と事実を摘示することで人の名誉を棄損することで成立する罪です。
≪詳細については昨日のブログをご参照ください。≫
【名誉毀損罪の特例(公共の利害に関する場合の特例)】
名誉毀損罪に当たる場合であっても、公共の利害に関する内容については処罰されない場合があります。
まずは条文をご覧ください。
刑法230条の2 前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
2項 前項の規定の適用については、公訴が提起されるに至っていない人の犯罪行為に関する事実は、公共の利害に関する事実とみなす。
3項 前条第一項の行為が公務員又は公選による公務員の候補者に関する事実に係る場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。
この条文は、名誉を棄損された被害者の(名誉の)保護と、憲法が定める表現の自由とのバランスを図るためのもので、昭和22年の法改正により新設された規定です。
週刊誌などで議員や芸能人のゴシップ記事が記載されているのは、この条文により処罰対象とされないことが定められているためです。
まず、この対象は「前条第一項の行為」とされているため、生きている方に対する名誉毀損罪にのみ適用される条文となっています(侮辱罪や死者への名誉毀損罪は対象となりません。)。
次に、①公共の利益に関する事実に係ることと、②目的が公益を図ることを必要とし、③真実の証明ができた場合には処罰されないとしています。
①の要件について、公共性のある事実を評価・判断するための資料になり得るものであることをいうとされています。
公共の利害に関する場合には、例えば政治家や公務員、医師、弁護士、大企業の役員などが挙げられるでしょう。
②については、文字どおり公益を図る目的であることを要件としているため、内容を客観的に検討していく必要があるでしょう。
①②の要件を満たす場合、裁判所は③である真実の真否を判断する必要があります。
なお、判例及び多数説は、この条文は名誉毀損罪の違法性阻却事由としています。
つまり、名誉毀損罪にあたる行為ではある(構成要件に該当する行為ではある)ものの、違法性が阻却されるため、結果として処罰されないというものです。
いずれにしても、名誉毀損罪における公共の利害に関する場合の特例については、判断が難しく一概には言えません。
自身の行為がこの特例にあたるのか否かについて知りたいという場合には、刑事事件専門の弁護士に無料相談することをお勧めします。
神奈川県川崎市宮前区にて、公務員の行動に対する抗議のビラを作成するなどして名誉毀損罪にあたる行為をして、それが公共の利害に関する場合の特例にあたるのか知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
刑事事件・少年事件専門の弁護士に無料で御相談できます。
※予約制。ご予約は0120-631-881まで。