同意があっても強姦に?
- 2020年8月15日
- コラム
同意があっても強姦に?
13歳未満の女子児童と同意のもとで性行為をした場合に強姦と扱われる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市神奈川区在住のAは、横浜市神奈川区にある会社に勤める23歳の会社員です。
AはSNSを用いて結婚相手を探そうとしました。
そこで、出会った女性Vと実際に会うことになりました。
当日、横浜市神奈川区内の喫茶店にてVと会ったところ、Vはかなり幼いように見えました。
しかし、結婚をしたいと考えたAは、Vの年齢を確認することなくVに対して結婚を前提に交際して欲しいと言い、Vはそれに応諾しました。
その後、2回ほどデートを行った後、横浜市神奈川区内のホテルにて性行為を行いました。
後日、Vの様子がおかしいと感じたVの保護者がVのスマートフォンを閲覧し、Aとの関係が発覚したため、横浜市神奈川区を管轄する神奈川警察署の警察官に相談をした後被害届を提出しました。
後日、Aは強姦をしたとして強制性交等罪で通常逮捕されました。
逮捕の知らせを聞いたAの家族は、同意があったにも関わらず強姦にあたり強制性交等罪になるのか、依頼した刑事事件の弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【強制性交等罪について】
暴行や脅迫を用いて性行為を行ういわゆる強姦は、2017年6月の刑法改正により強制性交等罪という名称に変更されました。
強姦罪は被害者による刑事告訴が必要とされる親告罪でしたが、強制性交等罪では被害者の刑事告訴なしに検察が公判請求できる非親告罪に変更されたほか、被害者が男性の場合も対象となりました。
強制性交等罪の条文は以下のとおりです。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
【13歳未満との性行為について】
今回問題となるのは、上記条文の後段である「十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」という部分です。
強姦というと相手に対して暴行や脅迫を用いて、意に反して性行為をするイメージが一般的ですが、13歳未満(13歳の誕生日が来る前の児童)が相手の場合、相手の同意があっても強制性交等になります。
【年齢を知らなかった場合は?】
では、ケースのAのように、年齢を確認しておらず、Aが13歳未満であることを知らなかった場合にはどうなるでしょうか。
もしAがVの年齢を知らずに、Vの同意のもとで性行為を行った場合には、強制性交等罪には当たらないとされています。
【年齢を知らなくても青少年育成条例に違反する?】
上記のとおり、相手が13歳未満であることを知らずに性行為をした場合、強制性交等罪には当たりません。
但し、18歳未満との性交渉は各都道府県の定める青少年育成条例に違反します。
ケースの場合は神奈川県横浜市神奈川区内での問題ですので、神奈川県青少年保護育成条例が問題となります。
神奈川県青少年保護育成条例31条1項 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
同3項 第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。
つまり、結婚を前提としない性行為やそれに類する行為を違法としているのです。
ケースのAはVに対してプロポーズを行っていますが、相手の年齢も身分も聞かずに結婚を前提にしていた、ということであれば、その主張は難しいと思われます。
上記条例違反の場合の法定刑は「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。(同53条1項)
更に、AがVに対してお金や物を渡す約束などをして性行為に及んだ場合には、児童買春の罪が適用されることになります。
神奈川県横浜市神奈川区にて、御家族が13歳未満の相手に対する同意のもとでの性行為をしたため強制性交等罪などの罪に問われ逮捕されたという場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。