無免許運転でスピード違反して身代わり出頭①
- 2020年8月22日
- コラム
無免許運転でスピード違反して身代わり出頭①
無免許運転をしていたところスピード違反(速度超過)で検挙されそうになり、身代わり出頭した場合の問題点と実名報道について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市中原区在住のAは、川崎市中原区内の会社に勤める会社員です。
Aはドライブをするのが趣味なのですが、以前に人身事故(過失運転致傷事件)を起こしてしまい、結果として免許停止処分になりました。
しかし、それでも運転をしたいと考えたAは、免許を有していないにも拘らず自動車を運転してしまい、その上高速道路で法定速度(100km/h)の場所を170km/hで走行してしまいました。
ところが、走行中、いわゆるオービスが光ったことに気が付きました。
慌てたAがそのことを後輩であるVに話したところ、Vから「俺は免許あるので俺が運転していたことにしますよ。」と言われました。
そして、Vがいわゆる身代わり出頭という形で、自身がA所有の車を運転していてオービスが光ったのですが…という申告を行いました。
ところが、その行為が身代わり出頭として罪を重ねることになり、以前に実名報道された事件もあるということを知り、無免許運転・スピード違反による罪と、身代わり出頭の問題点について、そして自身が実名報道される可能性があるのか、刑事事件専門の弁護士に無料相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【スピード違反(速度超過)について】
~スピード違反の取締り~
ご案内のとおり、我が国で車やバイクなどの車両を走行する際には、その車両の種別と場所で制限速度が設けられています。
原則として、一般道では60km/h、高速自動車国道(高速道路)では100km/hと制限しています。(これを法定速度と呼びます。)
とはいえ、道路は場所によって環境などが大きく異なるため、その場所場所にて速度の制限が設けられています。(これを制限速度と呼びます。)
しかし、スピード違反はともすれば一瞬の場合もあり、証拠保全という点で難しい部分があります。
ではどのようにして速度を計測するかというと、(1)オービスでの計測と(2)パトカー・白バイでの追尾での計測、があります。
(1)については、オービス(速度違反自動取締装置)と呼ばれる機械での計測です。
オービスは常時設置されている場所にて計測するものや移動式のオービスなどがあり、前者はスピード違反している車両の写真を撮影して後日出頭命令を出すというシステムで、後者は警察官らが機械を持ち出して速度を測定し違反した車両を進行方向先にいる警察官に連絡し、その警察官が制止して処理を行うという内容です。
(2)については、パトカー(覆面の場合もあり)や白バイなどで違反している車両の後ろで同じ速度で走行し、違反している速度を測定するものです。
~スピード違反の刑事責任~
運転免許証をお持ちの方はご承知のとおり、運転をしていて問題が生じた場合、刑事上の責任・民事上の責任・行政上の責任を問われることになります。
民事上の責任は、事故の場合に被害者が被った損失などを補填することを指します。
ケースの場合はスピード違反ですので、被害者などはおらず民事上の責任は考えにくいです。
また、事故に限らず交通違反行為をした場合には点数が累積され、その点数が一定以上になった場合には免許停止・免許取消などの処分を受けることになります。(免許停止・免許取消については【無免許運転について】の内容を併せて御参照ください。)
これが行政上の責任です。
では、刑事上の責任はというと、道路交通法などの法規に記載されている違反行為を行った場合に下される刑事処分になります。
例えば、スピード違反の場合の法定刑は「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」ですので、スピード違反をした場合に警察官・検察官の取調べを受け、最終的に裁判や略式手続を経て懲役刑や罰金刑に処される可能性があるということです。
ただし、1km/hでもスピード違反をした場合に全て刑事上の責任を問われるのかと言うとそうではなく、比較的軽微な違反に対しては交通反則告知書(俗に言う青切符)が交付され、反則金を納付することで起訴しない手続きをとります。
スピード違反については、一般道では30km/h未満の超過、高速道では40km/未満の超過であれば、基本的に青切符で処理されます。
逆に言うと、上記の速度を超えて走行していた場合、逮捕される可能性もありますし、捜査機関による取調べの結果正式裁判になる可能性すらあるということになります。
道路交通法22条1項 車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。
同118条1項 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
1号 第二十二条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者
【無免許運転について】
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【身代わり出頭について】
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【刑事事件での報道について】
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