わいせつ行為で裁判員裁判
- 2020年10月18日
- コラム
わいせつ行為で裁判員裁判
わいせつな行為をしてしまって裁判員裁判になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県海老名市在住のAは、海老名市内の会社に勤める会社員です。
Aは会社から自宅に帰る途中、前方に幼馴染のVが歩いているところを目撃しました。
そこでAは劣情を催し、Vの背後に忍び寄りVの服をしたからめくり上げ、下着の上から乳房を揉みしだきました。
被害に遭ったVは悲鳴をあげたところ、偶然パトロールをしていた海老名市内を管轄する海老名警察署の警察官が駆け付け、Aに追いつき逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【わいせつな行為について】
一言にわいせつな行為と言っても、とった行動により適用される罪は異なります。
今回は、加害者側が被害者側にわいせつな行為をした場合について御説明致します(自身の陰部を露出する等の公然わいせつ罪については除きます。)。
・強制わいせつ罪
相手に対して暴行又は脅迫を用いてわいせつなことをした場合、強制わいせつ罪が適用されます。
ケースのAのように暗がりで出合い頭に突然抱きつき相手の陰部に触れるような行為は、強制わいせつ罪に当たると考えられます。
強制わいせつ罪の条文は以下のとおりです。
刑法176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
・強制性交等罪
相手に対して暴行又は脅迫を用いて性交等をした場合、強制性交等罪の適用が考えられます。
強制性交「等」という言葉について、性行為だけではなく、肛門性交と口腔性交についても処罰対象と定めています。
刑法177条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
【裁判員裁判について】
裁判員裁判は、その対象事件を①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件、②裁判所法第二十六条第二項第二号に掲げる事件(死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪…に係る事件)であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの、と定めています(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)。
前述した強制わいせつ罪や強制性交等罪については、法定刑がそれぞれ「6月以上10年以下の懲役」又は「5年以上の有期懲役」と定められているため、上記①にも②にも当たりません。
しかし、強制わいせつ罪や強制性交等罪で被害者が怪我をした場合には強制わいせつ致傷罪・強制性交等致傷罪という罪名に変わります。
強制わいせつ致傷罪の法定刑は「無期又は三年以上の懲役」、強制性交等致傷罪は「無期又は六年以上の懲役」と定められているため、これは上記①のいう向きの懲役に当たる罪に係る事件、に当たるため、裁判員裁判対象事件になります。
強制わいせつ罪や強制性交等罪の場合、加害者は被害者の同意なく性的な行為を行うため、被害者の方は抵抗することが予想され、その抵抗を押さえつけるなどの目的で強い力を加えることが考えられるため、
また、例えば強制性交等事件では、加害者が性病に罹患していた場合などで被害者にその性病を移してしまったなどの場合に強制性交等致傷が適用されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当法人では通常の事件だけでなく裁判員裁判対象事件についても取り扱いがあり、その経験もございます。
神奈川県海老名市にて、御家族が強制わいせつ致傷罪・強制性交等致傷致傷罪で逮捕され、裁判員裁判になる可能性が高いという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。