大麻を密輸して家宅捜索
- 2020年11月29日
- コラム
大麻を密輸して家宅捜索
大麻を密輸していた場合の罪と家宅捜索について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県鎌倉市在住のAは,鎌倉市内の会社に勤める会社員です。
Aはしばし出張で海外に行くのですが,現地で大麻リキッドが売られているのを目撃しました。
興味本位で使用してみたところ快感をおぼえ,滞在中何度も使用していました。
そして,日本でも使用したいと考えたAは,大麻リキッドを日本国内に密かに持ち込み,自分だけで使用していました。
しかし,鎌倉市内で帰宅途中に鎌倉市内を管轄する鎌倉警察署の警察官から声を掛けられ職務質問に応じるよう求められ,所持品検査中に所持していた大麻リキッドが見つかってしまいました。
警察官からAが逮捕されたという連絡を受けたAの家族は,後日警察官が家宅捜索に来ると聞き,家宅捜索がどのようなものなのかについて刑事事件専門の弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【海外での大麻所持・使用について】
ご案内のとおり,我が国では大麻の所持等は禁止されています。
一方で,大麻の所持が合法とされている国もございます。
刑法をはじめとする我が国の刑事法は,日本国内での刑事事件を処罰するための法律であるとされていて,国籍を問わず,日本国内での刑事事件のみに適用されることを原則としています(属地主義)。
そのため,大麻の所持を合法としている国の国籍をもっていたとしても日本で大麻を所持等していた場合には処罰対象になりますし,日本のような大麻の所持を禁止している国の国籍を有した方が大麻の所持を合法としている国で所持していたとしても,少なくとも日本の法律では処罰されません。
【大麻の密輸について】
ケースのAは,大麻の所持で現行犯逮捕されています。
大麻の所持は大麻取締法に違反します(詳細はこちらのブログを併せて御覧ください。)。
更に,Aはその大麻リキッドを自身で海外から持ち込んでいます。
これは大麻取締法が禁止する輸入にあたるほか(大麻取締法4条,同24条1項),関税法が輸入を禁止している物に当たるため,関税法違反にも該当します(関税法69条の11第1項1号)。
【家宅捜索について】
人の家や会社のオフィスなどは私的領域ですので捜査機関であっても令状なしに捜査することはできません。
そのため,捜査機関は必要に応じていわゆる家宅捜索を行います。
家宅捜索は,被疑者の自宅のほか使用しているオフィスなどが対象となる場合もございます。
家宅捜索について,刑事訴訟法は「犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる」と定めています(刑事訴訟法218条1項)。
捜索のためには捜索令状が,証拠品を警察署に持っていくためには差押令状がそれぞれ必要となりますが,実務上それらをまとめた捜索差押許可状という書類が発付されます。
被疑者が逮捕されてから家宅捜索が行われるまでには時間を要する場合もございます。
家族として,被疑者の刑を軽くするために証拠を隠そうと考える方がおられるかもしれませんが,これは証拠隠滅等の罪に当たる行為です。
刑法104条では,他人の刑事事件に関する証拠を隠滅した場合には「三年以下の懲役又三十万円以下の罰金に処する。」と定めています。
ご自身のためにも,被疑者のためにも,家宅捜索前の証拠隠滅は絶対にやめるべきでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当法人はこれまで数多くの薬物事件を取り扱って参りました。
神奈川県鎌倉市にて,御家族が大麻の密輸や所持により大麻取締法違反で逮捕され,家宅捜索について知りたいという方がおられましたら,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
まずは弁護士が逮捕された御家族の方に接見に行った上で,家宅捜索を含めた今後の捜査や見通しについてご説明致します。