いわゆるアポ電強盗について
- 2020年10月26日
- コラム
いわゆるアポ電強盗について
昨今話題になっているアポ電強盗の手口と弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県南足柄市在住のAは、南足柄市内でアルバイトをしています。
しかし、昨今の状況からアルバイト先が営業時間の短縮をしてしまい、収入が減ってしまいました。
そこで、同じく南足柄市内に住む友人のXと話し合い、いわゆるアポ電強盗を行う計画を立てました。
Aらは南足柄市で金銭的に余裕のありそうな造りをした一軒家を複数探し、事前に電話帳で割り出した電話番号に連絡をし、いわゆるタンス預金がある家を探し当ててアポ電強盗を行いました。
事件後に通報を受けて臨場した南足柄市を管轄する松田警察署の警察官は、Aらを強盗罪で通常逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【アポ電強盗について】
アポ電強盗という言葉は一時期メディアを中心に話題となりました。
アポ電とはアポイントメント(appointment約束・予約)電話を指します。
アポ電強盗は、ケースのように事前に金融機関の関係者や警察官などを装って電話をかけ、被害者の自宅に現金がいくらあるかを確認した後、現金がある自宅に赴き強盗をはたらくという手口です。
いわゆる空き巣などとは異なり、実際に人がいる時間帯を狙い被害者を脅して金を出させるため、金を探す時間が省け奪うことができると考えられます。
まず、アポ電強盗は強盗罪に当たります。
強盗罪は、被害者に対して暴行や脅迫を行ったうえで被害者の財産を強取することで成立します。
加えて、被害者は当然抵抗することが予想されます。
抵抗した際や手足を縛る等した際に大小にかかわらず怪我をしてしまった場合、強盗致傷罪という更に重い罪が適用されます。
更に、強盗する際に被害者の自宅に入る行為が住居侵入罪に当たる可能性もあります。
住居侵入罪は、他人の家に侵入したり、退去を命じられても退去しない場合に成立します。
(強盗罪)
刑法236条1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
(強盗致傷罪)
刑法240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
(住居侵入罪)
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
【アポ電強盗での弁護活動】
アポ電強盗の場合、通話履歴や事件現場付近の防犯カメラ映像、遺留品などから捜査が開始されると考えられます。
被疑者が特定された場合、逮捕される可能性が極めて高いです。
この手の事件では、勾留される可能性が極めて高く、共犯者がいることから接見禁止決定が付く可能性もあります。
強盗事件では罰金刑がないことから略式手続はできず、証拠が揃いさえすれば公判請求され、正式裁判になります。
アポ電強盗での弁護活動としては、保釈などを求める身柄解放活動と、被害者対応、裁判での情状弁護などが考えられるでしょう。
また、調書は重要な証拠になるので、取調べでのアドバイスは重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
アポ電強盗などの刑事事件で逮捕された場合、まずは弁護士が一度警察署等に行き、面会を行います(初回接見)。
神奈川県南足柄市にて、御家族がアポ電強盗などで身柄拘束された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。