借金の督促で逮捕監禁・恐喝事件
- 2020年12月13日
- コラム
借金の督促で逮捕監禁・恐喝事件
貸主が,借主に対して借金の督促をしても返さない場合に借主を逮捕・監禁してしまった場合の弁護活動について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市中区在住のAは,横浜市中区内の会社に勤める会社員です。
Aは,友人である横浜市中区在住のVに対し,無利子で金を貸していました。
しかし,Vは返済期日になってもAに返金をせず,着信拒否する等して連絡が取れないようにしました。
そのような状況を踏まえ,AはVに返済の意思がないと考え,友人Xと2人でVの自宅に行き,Vを車に載せてAの自宅に連れていきました。
そのうえで,AはVに対し「借りたものは返さないといけないね。返す意思もないようだし,お天道様が見られない体になるかもね。」と言ったうえ,Vを3時間,Aの家の押し入れに入れて外から鍵を閉め,出られないようにしました。
最終的に,Vが同日中に返金することを約束したためAはVを解放して銀行へ行き,返済金額全額を回収しました。
後日,Vは横浜市中区を管轄する伊勢佐木警察署に被害届を提出しました。
捜査の上,Aらは恐喝罪などの罪で通常逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【債権(借金)の回収で問題となる罪】
ケースのAは金を貸していて,Vは金を返していないことから,一見するとVが悪いという印象を持つかもしれません。
確かに,借りた金を返さないという行為自体は民事上の問題が生じます。
また,借りる際に返す意思がないのに借りたり,所得などを偽ったりして金を借りた場合,詐欺罪などの刑法犯に当たる可能性があります。
では金を返してもらっていないAはというと,返金を求める権利は当然にあります。
しかし,Aのように強硬手段を用いた場合,A自身が刑事事件の加害者になり得るのです。
以下で検討していきます。
・恐喝罪
相手に貸した金や物であっても,正式な手続き(電話や書面での督促,内容証明の送付,司法書士や弁護士への依頼等)を経て返還を求める必要があります。
その手続きを経ず,相手に対して脅したり暴力を振るったりして無理やりお金を返させた場合,恐喝罪が適用される可能性があります。
刑法249条1項 人を恐喝して財物を交付させた者は,十年以下の懲役に処する。
・逮捕・監禁罪
Aは返金を求める手段として,Aを無理やり車や倉庫に閉じ込めるなど,Vの行動を制限しています。
捜査機関が捜査に必要な範囲で行う逮捕とは異なり,不法に逮捕したり監禁したりすることは法律で禁止されています。
これらに反した場合,逮捕及び監禁の罪に当たることが考えられます。
なお,恐喝の目的のため逮捕・監禁を行った場合,牽連関係にはないとされ,併合罪として扱われます。
刑法220条 不法に人を逮捕し,又は監禁した者は,三月以上七年以下の懲役に処する。
【お金のトラブルでの刑事事件は弁護士へ】
上記のように,お金のトラブルが民事事件だけでなく刑事事件に発展するという場合もございます。
とりわけケースのような恐喝罪や逮捕・監禁罪に問われる可能性があるような場合には,逮捕され,起訴されることも考えられます。
そのため,刑事事件に発展する可能性があるお金のトラブルについては,すぐに刑事事件に対応する弁護士に相談することが望ましいでしょう。
神奈川県横浜市中区にて,お金のトラブルが恐喝罪や逮捕・監禁罪などの刑事事件に発展している場合,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
受付は24時間・365日対応しています。