あおり運転で逮捕
- 2020年11月7日
- コラム
あおり運転で逮捕
先日厳罰化された、いわゆるあおり運転をしてしまい逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市幸区在住のAは、川崎市内の会社で営業の仕事をしていました。
ある日、営業の帰り道に川崎市幸区内を走行していたところ、一本道で初心者マークを付けた車が制限速度より低速で走行していました。
Aは早く進みたいと考え、執拗にクラクションを鳴らしたり、ハイビームにしたりして前方の車両を急がせようとしました。
後日、川崎市幸区を管轄する幸警察署の警察官がAの自宅に来て、あおり運転による道路交通法違反で逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【あおり運転について】
昨今、他の車両等に対してその進路を妨害するなどのあおり運転が社会問題となっています。
あおり運転は、被害者が怖い思いをするだけでなく、別の車両との接触事故が発生して死亡事故が起きることもある、極めて危険な行為です。
従来、あおり運転を直接取り締まることは困難で、暴行罪のほか車間距離保持義務違反、危険運転致死傷罪を用いるなどして、難しい判断を迫られていました。
それらの状況を鑑み、2020年6月30日施行の改正道路交通法によりあおり運転に繋がる行為を厳罰化されたほか、同年7月2日施行の改正自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(通称:自動車運転処罰法)によりあおり運転での人身事故についての厳罰化を行っています。
【あおり運転で人身事故等に発展していない場合】
具体的に、道路交通法117条の2の2第11号は、他の車両等の通行を妨害する目的で、交通の危険を生じさせるおそれのある場合について「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と定めたほか、117条の2第6号は高速道路で自動車を停止させて交通の危険を生じさせた場合について五年以下の懲役又は百万円以下の罰金」に処すると定めています。
・通行区分違反(対向車線に出る行為:道路交通法17条)
・急ブレーキ禁止違反(不必要に急ブレーキをかける行為:同法24条)
・車間距離不保持(前方の車両との車間距離を詰める行為:同法26条)
・進路変更禁止違反(蛇行運転など:同法26条の2第2項)
・追い越し違反(左側からの追い越しや危険を生じさせる追い越し行為:同法28条1項、4項)
・車両等の灯火違反(前方の車両がいるのにハイビームを使う等の行為:同法52条2項)
・警音器使用制限違反(不必要にクラクションを鳴らす行為:同法54条2項)
・安全運転義務違反(制限速度を超えた速度や大幅に下回る速度での運転等:同法70条)
・最低速度違反(高速道路にて、最低速度である50km/hで運転する行為:同法75条の4)
・高速自動車国道等駐停車違反(高速道路で駐停車をする行為:同法75条の8)
【あおり運転で人身事故に発展した場合】
2017年に発生した東名高速道路における夫婦死亡事故では、高速道路で他車を停車させたことが、自動車運転処罰法2条4号の定める「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」にあたるのかが争点となり結果として認められましたが、同時にその適用の難しさが指摘されました。
そこで、2020年の自動車運転処罰法改正では、新たにその6号で「高速自動車国道又は自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行をさせる行為」を禁止しました(罰則規定は、被害者が怪我をした場合には十五年以下の懲役、死亡してしまった場合は一年以上(20年以下)の有期懲役。)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、道路交通法違反や自動車運転処罰法などに違反した場合の、刑事事件についての御依頼を承っております。
神奈川県川崎市幸区にて、御家族があおり運転で逮捕された、あるいは御自身があおり運転で取調べを受ける予定の方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。