泳がせ捜査で情状弁護①
- 2020年12月25日
- その他の刑法犯事件
泳がせ捜査で情状弁護①
拳銃を輸入した場合の泳がせ捜査と情状弁護について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市中区在住のAは、横浜市中区内の会社に勤める会社員です。
Aには交際相手Xがいて同居する仲に発展しましたが、Xは交際を開始してしばらくした後、いわゆるDVを行うようになりました。
その行為は次第にエスカレートし、Aは自身の生命の危機を感じるようにさえなりました。
そのような状況から、AはXに対して別れたいと言いましたがXはそれを認めず、Aのスマートフォンから友人や家族の連絡先情報を削除するなどしてAが助けを求められないような状況に追いやりました。
窮地に追いやられたAは、自身のみを守るべく、拳銃を所持しようと考えました。
そこで、Aはネット上の裏サイトを見つけ、某国から拳銃を輸入しようと申し込みを行いました。
そして、Xが不在の折を狙って拳銃の入った荷物を受け取ろうとし、荷物が届いたので受け取ったところ、ドアの死角に立っていた横浜市中区の神奈川県警察本部の捜査員が現れ、Aを銃砲刀剣類所持等取締法違反で現行犯逮捕しました。
その際、警察官から「中身は偽物に変えているぞ」と説明を受けました。
逮捕の連絡を受けたAの家族は、拳銃を輸入した場合に問題となる罪や泳がせ捜査について、刑事事件専門の弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【拳銃の輸入について】
まず前提として、我が国では海外から送られてくる物や入国時に持っている荷物に対しては税関検査が行われます。
御案内のとおり、税関検査では機械や麻薬探知犬などいくつもの極めて厳しい検査が行われることから、拳銃などの法禁物を輸入することは極めて困難です。
そしてその法禁物を輸入する行為は勿論、輸入しようとする行為自体が法律上問題となり、処罰される可能性があります。
ケースの場合、拳銃を輸入しようとしています。
拳銃の輸入に際し問題となるのは、関税法と銃砲刀剣類所持等取締法が挙げられます。
まず関税法違反について、関税法では我が国に輸入してはいけない物を定めているのですが、その69条の11第1項2号で「拳銃、小銃、機関銃及び砲並びにこれらの銃砲弾並びに拳銃部品。ただし、他の法令の規定により輸入することができることとされている者が当該他の法令の定めるところにより輸入するものを除く。」と定めています。
これに違反して拳銃を輸入した場合、「十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められています(同法109条1項)。
次に銃砲刀剣類所持等取締法(以下、銃刀法と呼びます。)違反について、銃刀法はその3条の4で、各号に列挙されている場合を除き拳銃を輸入してはならないと定められています。
法定刑は「三年以上の有期懲役に処する。」と定められています(同法31条の2第1項)。
なお、拳銃のような危険な物を輸入する目的について考えた際、AがXを殺害しようとして拳銃を輸入したと疑われる可能性があります。
もしこのような疑いをかけられた場合、殺人予備罪の嫌疑もかけられることとなります。
【泳がせ捜査(コントロールド・デリバリー)について】
≪明日のブログを御覧ください。≫
【情状弁護について】
≪明日のブログを御覧ください。≫
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所ではこれまで数多くの刑事事件に携わってきた経験から、情状弁護についても様々な御提案が出来るかと存じます。
神奈川県横浜市中区にて、御家族の方が拳銃の輸入などで泳がせ捜査(コントロールド・デリバリー)を受け逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。