特殊詐欺事件で黙秘権を行使
- 2021年1月15日
- コラム
特殊詐欺事件で黙秘権を行使
いわゆる特殊詐欺事件を起こしてしまった場合の罪と黙秘権について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県相模原市緑区在住のAは、相模原市緑区内の会社に勤める会社員です。
ある日、AはSNSで高額アルバイトを検索し、時給5000円と書かれた投稿を見つけて応募しました。
数日経ち、ダイレクトメッセージで採用するという連絡が届きましたが、その仕事内容とは、指定された場所に行き現金を受け取り、それを事前に送られてきた通帳の口座に預け入れるというものでした。
Aは自身が報道などで見かける特殊詐欺に加担してしまうのではないかと感じましたが、指示役からは「違法な仕事ではないから」と言われたため、指示されたとおり被害者宅に行き、家から出てきた高齢者から紙袋を受け取りました。
しかし、騙されたふり作戦を敷いていた津久井警察署の警察官が出てきて、Aは逮捕されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【特殊詐欺事件について】
特殊詐欺は、被害者に対して電話などを使い非対面で信頼をさせ、指定した銀行口座に送金させたり、現金を直接受け取りに行ったりという手段を用いる詐欺です。
特殊詐欺事件は、被害者宅に電話をかける架け子やケースのAのように現金を受け取りに行く受け子、キャッシュカードなどを詐取してATМなどで現金を引き出す出し子など、いくつかの役割に分かれて犯行に及ぶ場合が多いことが特徴です。
いずれの役割についても、詐欺罪や窃盗罪などが成立することが考えられます。
ケースのAの場合、別の者が架け子の役割を担い、A自身は受け子の役割を担っている形になりますが、現金を受け取りに行く手口の場合詐欺罪の適用が検討されます。
詐欺罪の条文は以下のとおりです。
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
【黙秘権について】
ドラマなどでよく、捜査機関から取調べを受ける前に、警察官や検察官が「自身の意思に反して発言しなくてもよい」と説明をする光景を目にすることがあるかと思います。
これは黙秘権の告知と呼ばれるもので、憲法38条1項で「何人も、自己に不利益な供述を強要されない。」と規定されています。
また、具体的には刑事訴訟法198条2項で「…前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められているものです。
実際、刑事事件を起こした被疑者の方が、警察官や検察官などから取調べを受ける際、黙秘権を行使することが有効になる場合は多々あります。
しかし、いざ一般の方が取調べを受ける立場になったとき、弁護士のアドバイスなしで黙秘権を適切に行使することは難しいと言えるでしょう。
また、法律上黙秘権を行使することでデメリットがあるわけではありませんが、取調官は黙秘している被疑者に対して「反省していない」などの良くない心証を抱くことが考えられるほか、実質的に身体拘束期間が長くなる可能性も否定できません。
そのため、在宅事件の場合でも逮捕・勾留されている事件の場合でも、取調べの前に刑事事件・少年事件の経験が豊富な弁護士にアドバイスを受けた上で取調べに臨むことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士は刑事事件・少年事件を専門としています。
神奈川県相模原市緑区で、御家族が特殊詐欺の受け子をして逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
まずは逮捕されている方のもとに接見に行き、取調べでの黙秘権の必要性等について御説明致します(初回接見は有料です。)。