電凸で刑事事件に
- 2021年1月21日
- その他の刑法犯事件
電凸で刑事事件に
電話を繰り返し行ういわゆる電凸で刑事事件になる場合の罪について、
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市宮前区在住のAは、川崎市宮前区内の会社に勤める会社員です。
ある日、川崎市宮前区で刑事事件が発生し、川崎市宮前区内に住むXが逮捕されたという報道を見ました。
それを見て、AはXの自宅や電話番号を探し当て、インターネット上の掲示板に「電凸しようぜ」と投稿しました。
加えて、AはXの自宅の電話番号に繰り返し電話をかけ、「川崎市宮前区内から出ていけ。さもなければ火をつける。お前たちの家は知っているぞ。」などと言いました。
数か月後、Aの自宅に川崎市宮前区を管轄する宮前警察署の警察官が来て、Aを逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【電凸について】
電凸という言葉は、もともとインターネット上で生まれた言葉で、「電話突撃」という説があります。
最近は誰でもスマホやパソコンなどを持っていることから、簡単に情報を発信したり手に入れたりすることができます。
そして、何かしら不祥事や事件が発覚するや否や、そのお店や個人に対して嫌がらせや脅迫の電話をするということが少なくないようです。
電話で相手の立場や状況を確認したり自身の主張を伝えるということ自体がすぐに罪に問われるわけではありません。
しかし、ケースのように何度も繰り返し電話をしたり相手を恐怖に陥れるような発言をする行為は罪に問われます。
・威力業務妨害
お店や会社に対して繰り返し電話をかける行為は、業務妨害の罪(威力業務妨害罪・偽計業務妨害罪)にあたります。
威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪は区別が難しいのですが、行為あるいは結果のいずれかが公然・誇示的、可視的であれば「威力」とされ、非公然・隠密的、不可視的であれば「偽計」であるという基準が一般的とされています。
威力業務妨害罪の条文は以下のとおりです。
刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
※刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を棄損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
・脅迫罪
ケースのAは、刑事事件を起こしたXの家族に電話をかけて、川崎市宮前区から出ていかなければ自宅に火をつけるかのような発言をしています。
これは、脅迫罪にあたる可能性があります。
脅迫罪の条文は以下のとおりです。
刑法222条1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
・傷害罪
電凸は繰り返し電話をする場合が一般的です。
被害者側は何度も電話がかかってくることでストレスを感じると考えられます。
その結果、例えば慢性頭痛症や睡眠障害、外傷後ストレス障害(いわゆるPTSD)などになることがあるでしょう。
「傷害」というと殴ったり蹴ったりすることで怪我をするイメージが一般的ですが上記のような精神障害等についても「傷害」と評価されることがあります。
よって、電話をかけたAは傷害罪に問われる可能性があります。
傷害罪の条文は以下のとおりです。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県川崎市宮前区にて、御家族が電凸をして威力業務妨害罪や脅迫罪、傷害罪などで逮捕されてしまった方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に御連絡ください。
まずは弁護士が初回接見に行き、逮捕されている方からお話を伺ったうえで今後の見通しについて御説明致します(初回接見は有料です。)。