客引きで罰金刑に
- 2021年1月25日
- その他の刑法犯事件
客引きで罰金刑に
客引きが問題となる罪と罰金刑について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市都筑区在住のAは、横浜市都筑区内で不定期のアルバイトをしています。
Aは先輩から誘われて、キャバクラのアルバイトをするようになりました。
その内容というのが、大通りの歩道で男性に声をかけてお店への勧誘をする、いわゆる客引き行為を行いました。
Aは客引きが何かしらの問題があるということは承知していましたが、先輩からの誘いだったために断れず、客引き行為を続けていました。
ある日、Aが通行中の男性に「お時間宜しいですか。」と言いその男性の前に回り込んで立ちふさがるような形になったところ「警察だよ。」と言われ、横浜市都筑区にある都筑警察署に連行されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【客引き行為について】
客引きで問題となるのは風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称:風営法あるいは風適法)の定める≪禁止行為等≫が問題となります。
該当する条文は以下のとおりです。
風営法22条1項 風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
1号 当該営業に関し客引きをすること。
2号 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
(以下略)
同法52条1項 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
1号 第二十二条第一項第一号若しくは第二号…、第二十八条第十二項第一号若しくは第二号…又は第三十一条の十三第二項第一号若しくは第二号の規定に違反した者
風営法のいう「風俗営業」は、以下の内容の営業を指します。
①キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
②喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を10ルクス以下として営むもの
③喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが5平方メートル以下である客席を設けて営むもの
④麻雀屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
⑤スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるものを備える店舗その他これに類する区画された施設において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業
風営法のいう「客引き」は「相手方を特定して営業所の客となるように勧誘すること」としています。
たとえば、通行人に対して「お時間ありませんか?」などと、声を掛けながら、相手の反応を伺っている段階では、客引きに当たらないでしょう。
他方で、相手方の前に立ちふさがったり、相手方につきまとうことは先述した風営法22条1項2号の言う客引きに当たる可能性が高いです。
つまり、単純な呼びかけは客引きとはならないものの、つきまとって勧誘する行為は違法ということになります。
【刑罰について】
刑事事件を起こしてしまった場合、事件の内容や前科の有無などの様々な要素を考慮して刑罰に処されます。
この刑罰は法律に定められている罰則規定≪死刑・懲役刑・禁錮刑・罰金刑・拘留・科料≫の範囲内でしか言い渡すことができません。
客引き行為の場合、風営法で「六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」と定められているため、たとえば懲役1年、あるいは罰金200万円などという判決には至りません。
神奈川県横浜市都筑区にて、客引きで刑事事件化する可能性がある方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談いただけます。