コピー品の転売で家宅捜索
- 2021年1月26日
- コラム
コピー品の転売で家宅捜索
コピー品の転売が問題となる罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市磯子区在住のAは、磯子区内の会社に勤める会社員です。
Aは副業をしようと考え、ネット上のフリーマーケットアプリに着目しました。
そして、質のいいコピー品を海外から輸入し、それをコピー品と明示して売れば問題にならないだろうと考え、海外からコピー品を繰り返し購入し、それを転売していました。
ところが、ある日コピー品が自宅に届かず、更にその数日後に警察官が自宅にきてコピー品を販売していた件で令状が出ているから家宅捜索を行うと言われ、コピー品やパソコンなどが押収されました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【コピー品の転売について】
御案内のとおり、我が国、あるいは世界各国に於て、ブランドというものが数多く存在します。
一般消費者の中には、ブランド品であることを前提に購入するという方も少なくないでしょう。
一般的に、多くのブランドは商標登録されていて、許可なくそのブランドのマークなどを使用することは商標権の侵害にあたります。
ブランドに書かれているⓇマーク(The registered trAdemArk symbol)や™(TrAdemArk)などは、そのブランドが商標登録されている、あるいは商標登録前ではあるがのちに登録される予定であることを示すものです。
コピー品とは、それらのブランドを無断で使用する「知的財産侵害物品」の俗語です。
まず大前提として、ケースのような事件については多くの場合、税関で止められます。
そもそも、コピー品は輸入が禁止されている物であり、関税法第69条の11に違反するためです。
例え自己使用目的での輸入であっても、コピー品である以上は我が国への持ち込みは認められません。
では仮に、ケースのようにそれをかいくぐってコピー品を輸入することが出来た場合、どのような罪に当たるのか、以下で解説致します。
・コピー品を偽物と明示して転売する行為
コピー品であることを知っていて、それをコピー品と明示した後販売する行為は、詐欺罪には該当しません。
相手がコピー品であることを承知してそれを購入しているため、(後述する)詐欺罪のいう「人を欺いて」という点に当たらないからです。
しかし、この場合には商標法に違反する可能性があります。
商標法とは、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする。」と定められています。
商標法78条 商標権又は専用使用権を侵害した者(第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
・コピー品を本物と偽って転売する行為
コピー品を、それが偽物と知っていながら販売・転売する行為は、買い手(購入する側)に嘘をつき、買い手が本物と勘違いをして購入し、その対価を受け取ることになるため、上記商標法違反に加えて刑法上の詐欺罪に当たる可能性があります。
刑法246条1項 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
・転売目的での所持
前述のとおり、コピー品を輸入する行為は禁止されています。
一方で、日本国内でコピー品を作って自己使用の目的で所持することまでは違法とはなりません。
しかし、例えば転売目的でコピー品を多数持っていて、オークションなどで一度でも出品するなどした場合、商標法上の間接侵害になる可能性があります。
商標法37条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。
第5号 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為
同法78条の2 第三十七条又は第六十七条の規定により商標権又は専用使用権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
【家宅捜索を受けたら弁護士へ】
ケースのように、ある日突然警察官などの捜査機関が自宅にきて、家宅捜索を行うという場合がございます。
家宅捜索は、「捜索差押許可状」という裁判所が発布する令状に基づき行われる捜査の一種です。
家宅捜索を受けるということは、令状に名前が書かれている方(被疑者不詳の場合もあり)が被疑者とされ、捜査を受けているということを意味します。
家宅捜索を受けた場合、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県横浜市磯子区にて、コピー品の転売で家宅捜索を受けた方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、まずは事務所にて無料相談を受けることができます。