公務執行妨害で現行犯逮捕
- 2021年1月27日
- コラム
公務執行妨害で現行犯逮捕
公務員に対してその公務を妨害する公務執行妨害罪で現行犯逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県逗子市在住のAは、逗子市内の会社に勤める会社員です。
Aは知人と買い物のため自動車で出かけていたのですが、目的の店には駐停車場がなかったため、知人は買い物に行きA自身は乗車したまま路上駐停車していました。
その道路は駐停車禁止区域でした。
数分後、逗子市内を管轄する逗子警察署の警察官がパトロールをしていて、その区域が駐停車禁止場所で速やかに動かなければならないと説明してその場を立ち去りました。
しかしAはその説明を無視し、その後もその場所で停車して知人の戻りを待っていました。
その十数分後、再びパトロール中の同じ警察官が来て、Aに対して「駐停車違反ですから免許証を出してください。」と言いました。
長時間停車したわけでもないのに取り締まられたことに納得がいかなかったAは、警察官に対して免許証を投げつけ、「早く(切符を)切れよ」と言い警察官の両肩を押しました。
警察官はAに対して公務執行妨害だと言い、Aに「○時○分、現行犯で逮捕するから」と言って手錠をかけました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【公務執行妨害罪について】
ケースでは、駐停車違反をしたことに対して交通反則制度に基づき処理をしようとしていた警察官に対し、Aが八つ当たりのような形で両肩を押しています。
これは、公務員である警察官の職務に対して暴行を加えたことになり、公務執行妨害罪にあたる可能性があります。
公務執行妨害罪の条文は以下のとおりです。
刑法95条1項 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
【現行犯逮捕とは】
小説やドラマでしばし現行犯逮捕という言葉を耳にすることかがあるかと思います。
逮捕は、刑事事件を起したという疑いのある被疑者の身柄を拘束して事件捜査を行うための手続きです。
逮捕には通常逮捕・緊急逮捕・現行犯逮捕の3種類があります。
我が国では令状主義を採用していることから、逮捕する場合には令状に基づく通常逮捕を行うことが原則です。
よって、令状に基づかない逮捕である緊急逮捕や現行犯逮捕は例外的な手続きといえます。
もっとも、実務上逮捕者全体のうち約40%が、現行犯逮捕によるものと言われています。
現行犯逮捕について、刑事訴訟法213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定しています。
現行犯人とは現に罪を犯している人や罪を犯し終わった人を指しますが、例えば逃走中の者が「あいつが犯人だ」と言われている場合や事件に使われたであろう凶器などを持っている場合、被害者が言う加害者の人物像と被疑者が一致している場合、事件について聞きたいと問いかけたところ逃走を図った場合などについても、現行犯人とみなすとされています(刑事訴訟法212条各項)。
ケースの場合は事件の被害者がその場で暴力を振るった被疑者を確保していることから、現行犯逮捕にあたります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所は、公務執行妨害罪のような公務員に対して起こした刑事事件についても対応しています。
神奈川県逗子市にて、御家族が公務執行妨害罪で現行犯逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
まずは弁護士が接見に行き、逮捕された理由や現行犯逮捕の際の手続きが適切だったか否か等を確認してまいります(有料)。