飲酒運転で身代わり
- 2021年4月6日
- コラム
飲酒運転で身代わり
飲酒運転をしてしまった人の刑事処分と、飲酒運転をした者を庇うため身代わりになった人の刑事処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAは、横浜市保土ヶ谷区内の会社に勤める会社員です。
AはSNSで知り合ったXと連絡を取り、仕事帰りに待ち合わせをしてXの運転する車でドライブを企画していました。
当日、待ち合わせ場所に迎えに来たXの車に乗りドライブをしていたところ、警ら中の横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官が、Xの車にスピーカーで停止を求めました。
XはAに「実は運転前に酒を飲んでしまい、今運転していることがバレたら飲酒運転で免許を失う。身代わりになってくれないか。」と言われ、停車するや否やAが運転席に、Xが助手席に移り、降りてきた警察官には「Aが運転していた。」と嘘をつきました。
警察官は、運転手の身代わりを見抜き、AとXを逮捕しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【飲酒運転と身代わりで問題となる罪】
御案内のとおり、アルコールが入った状態で自動車などを飲酒することは違法です。
飲酒運転をした場合には、どのような罪となるのでしょうか。
①Xが問題となる罪
・飲酒運転
飲酒運転の多くは、酒気帯び運転という罪で検挙されます。
酒気帯び運転は道路交通法の違反に当たります。
具体的には、呼気検査で呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L(又は血中アルコール濃度が0.3mg/L)を超えた場合に、酒気帯び運転に該当します。
また、飲酒運転をした者が泥酔状態だった場合、酒酔い運転として処理されることがあります。
酒酔い運転についての判断をする場合、呼気検査だけではなく、警察官との受け答えや歩行検査などが評価の材料となります。
具体的には、呼気検査で0.15mg/Lを大幅に超える場合や、警察官との応答でろれつが回っていない状態、まっすぐに歩行ができない場合などに、酒酔い運転と評価されます。
道路交通法117条の2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
3号 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあつたもの
第117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
1号 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第一項の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔つた状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあつたもの
・犯人隠避教唆罪
Xについては飲酒運転に留まらず、②で説明する犯人隠避罪の教唆と評価される可能性があります。
詳細は後述致します。
②Aが問題となる罪
・飲酒運転同乗罪
飲酒運転と知っていてその車に乗った場合、飲酒運転同乗罪にあたります。
これは道路交通法65条4項に違反します。
罰条は「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」です。
・犯人隠避罪
ケースでは、本来Xが運転をしていたにも拘らず、Aが運転したと嘘を言いました。
この行動は、どのような問題があるのでしょうか。
身代わりになるということは、本当の犯人を隠して自分が犯人と偽ることを意味します。
よって、Aには犯人隠避罪が適用される可能性があります。
刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、運転などが問題となる刑事事件についても対応しています。
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、御家族が飲酒運転や犯人隠避などの罪で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。