盗撮で示談交渉
- 2021年4月8日
- コラム
盗撮で示談交渉
盗撮事件で問題となる罪と示談交渉について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市中原区在住のAは、川崎市中原区内の会社に勤める会社員です。
Aは休日に川崎市中原区内にある公衆トイレの傍を通りかかったところ、好みのタイプのVがその公衆トイレに入っていくところを目撃しました。
そこで、AはVが入った個室の隣の個室に入り、スマートフォンの動画モードを起動させてVが入っている個室にレンズを差し向ける、いわゆる盗撮を行いました。
盗撮に気が付いたVは警察に通報し、臨場した川崎市中原区を管轄する中原警察署の警察官は、Aを盗撮の嫌疑で逮捕しました。
Aの家族は、被害者に申し訳ないと思い刑事事件専門の弁護士に示談交渉を依頼しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【盗撮について】
盗撮は倫理・道徳的に問題があることはお分かりかと思います。
では、盗撮が法的にどのような問題を孕むのか、以下で検討してまいります。
①建造物侵入罪・住居侵入罪
他人の排泄(トイレ)を覗く目的でトイレに入ったり、着替え姿を覗くために更衣室に入ったりした場合には建造物侵入罪に、ケースのように他人の部屋のベランダに入るような行為は住居侵入罪に当たる可能性があります。
建造物侵入罪・住居侵入罪は、刑法130条で「正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、…た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」と定められています。
他人の排泄を除く行為や着替えをする行為等を窃視することは正当な理由とは言えませんので、これらの罪に当たる可能性があります。
②軽犯罪法違反
他人の排泄行為や着替えといった通常ならば服を着ていないような場所を覗き見る行為は軽犯罪法違反に当たる可能性があります。
軽犯罪法1条33号は、「正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に対し「拘留又は科料に処する。」と定めています。
拘留とは1日以上30日未満の身体拘束を指し、科料とは1000円以上1万円以下のお金を納付することを指します。
盗撮という行為は直接覗いているわけではありませんが、「のぞき見る」に含まれると解されています。
③神奈川県迷惑行為防止条例違反
ケースは神奈川県川崎市中原区での盗撮事件を想定しています。
神奈川県迷惑行為防止条例では、その3条2項で「何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。」と規定しています。
これに反した場合の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」と定められています。
②と③について、自治体によってはトイレや更衣室などの盗撮を禁止する規定を設けていない場合があるのですが、神奈川県は迷惑防止条例で禁止規定を設けています。
軽犯罪法違反と神奈川県迷惑防止条例違反とは、観念的競合にあることから、より重い③の刑罰を言い渡されます。
【示談交渉で弁護士へ】
被害者がいる刑事事件の場合、示談交渉が重要な弁護活動の一つになります。
示談交渉は当事者同士で行うことができますが、盗撮のような性犯罪の場合、被害者が加害者と直接の連絡・接触を拒むという場合が一般的です。
そのため、示談交渉をする場合には弁護士に依頼をすることが望ましいでしょう。
神奈川県川崎市中原区にて、御家族が公衆トイレなどでの盗撮事件を起こしてしまい、示談交渉について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
御家族が逮捕・勾留されている場合、まずは弁護士が接見に行き、御本人とお話をした上で示談交渉などの弁護活動について御説明致します。