器物損壊事件で示談したい
- 2021年4月12日
- コラム
器物損壊事件で示談したい
器物損壊事件で示談したいというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
鉄道好きのAさんは、神奈川県横須賀市内にある駅の駅員にぞんざいな扱いを受けたことから、駅員の勤務態度について腹を立てました。
そこで、Aさんは駅員に仕返ししてやろうと思いつき、神奈川県横須賀市内を走行中の電車内で、シート3か所をカッターナイフで切り裂きました。
切り裂かれたシートを発見した駅員が神奈川県浦賀警察署に通報したことから捜査が開始され、ほどなくして、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されました。
神奈川県横須賀市内を走る電車では同様の被害が複数件あったようで、Aさんに余罪があるのではないかと疑われていると知ったAさんの家族は、示談などで穏便に解決できないか弁護士に相談してみることにしました。
(2020年10月22日に読売新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【器物損壊罪の成立】
刑法は、器物損壊罪(刑法261条)を以下のように規定し、財産が不法に侵害する行為を禁止しています。
刑法第261条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※注:「前三条」とは刑法258条・刑法259条・刑法260条のことを指します。
また、刑法は、以下のように、器物損壊罪を、刑事裁判に提訴(起訴)する要件として被害者の告訴を必要とする親告罪であると規定しています。
刑法264条
第259条、第261条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
※注:「前条」とは刑法263条のことを指します。
また、刑法261条が器物損壊罪です。
器物損壊罪は、財産自体の形状を変更しあるいは滅失させる行為だけでなく、事実上あるいは感情上その財産の本来の用途に従って使用することができなくする行為も禁止しています。
Aさんが行った電車内のシートをカッターナイフで切り裂く行為は、電車内のシートを傷つけ、シートの形を変え使えなくする行為です。
そのため、Aさんの行為は器物損壊罪で禁止される「損壊」行為に当たると考えられ、Aさんには器物損壊罪が成立すると考えられます。
【器物損壊罪と示談】
器物損壊罪のような親告罪は、被害者と示談をすることが重要となります。
上述のように、親告罪は、刑事裁判に提訴(起訴)する要件として被害者の告訴を必要とする犯罪です。
示談では正式な謝罪や被害弁償などを行い示談書を取り交わしますが、そこで器物損壊事件の被害者に告訴を取り下げてもらえたり、告訴を出さないという約束をしてもらえれば、器物損壊罪で刑事裁判に提訴(起訴)されることがなくなるためです。
示談交渉では、告訴取り下げの法律的な効果の説明や被害弁償額の交渉など、刑事事件に関する専門的な知識と豊富な経験が必要です。
今回の刑事事件例のように器物損壊事件の被害が多数生じている場合には、器物損壊事件の被害者の処罰感情が大きいことも考えられます。
そのため、示談交渉の際には、器物損壊事件の被害者の処罰感情を十分考慮して話を進める必要もあります。
以上から、示談締結には、刑事事件を専門に扱い、示談交渉の経験豊富な弁護士を選任することが重要であるといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
器物損壊事件を起こし、示談をしたいと考えている方のご相談・ご依頼もお受けしています。
器物損壊事件で示談したいとお悩みの際は、一度弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。