大麻を栽培し逮捕
- 2021年4月18日
- コラム
大麻を栽培し逮捕
大麻を栽培し逮捕されてしまったケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、神奈川県横浜市中区内の賃貸マンションにおいて、自己使用目的で大麻を栽培していたところ、突然賃貸マンションに多数の警察官が現れ、捜索差押許可状を示されました。
賃貸マンションが捜索されたあと、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。
Aさんは神奈川県加賀町警察署に留置され、取調べを受けています。
Aさんは、栽培した大麻を他人に売却したことはありません。
Aさんはこれからどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪は?~
(大麻栽培)
大麻をみだりに栽培すると、大麻栽培の罪(大麻取締法第24条)が成立します。
Aさんには特に法定の除外事由(Aさんが「大麻取扱者」として大麻を栽培しているなど)がないので、賃貸マンションにおいて大麻を栽培した以上、上記の犯罪が成立する可能性が高いと思われます。
また、営利目的で大麻を栽培した場合と、営利外の目的(個人使用目的など)で大麻を栽培した場合とでは、刑罰が異なります。
営利目的で大麻を栽培し、有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処せられます(大麻取締法第24条2項)。
営利外の目的で大麻を栽培し、有罪判決を受ける場合には、7年以下の懲役に処せられます(大麻取締法第24条1項)。
Aさんは自己使用目的で大麻を栽培しており、栽培した大麻を譲り渡すなどしたことはありません。
そのため、後者(営利外の目的での大麻の栽培)の嫌疑をかけられる可能性が高いでしょう。
もっとも、栽培している大麻が大量であり、自己使用目的とは言い難い場合や、効率的に大麻を栽培する設備が備えられるなどしていた場合には、営利目的による大麻栽培を疑われる可能性もあります。
(大麻所持)
ケースには明確に記載されていませんが、Aさんは自己使用目的で大麻を栽培していることから、大麻をみだりに「所持」しているとの嫌疑もかかるでしょう。
大麻所持罪も、営利目的であるか、営利外の目的であるかによって刑罰の重さが異なります。
営利目的で大麻を所持する行為については、7年以下の懲役、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金が予定されています(大麻取締法第24条の2第2項)。
営利外の目的で大麻を所持する行為については、5年以下の懲役となっています(大麻取締法第24条の2第1項)。
~Aさんは今後どうなる?~
逮捕され、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致後は、検察で検察官の取調べを受けます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを判断します。
勾留請求がなされ、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
また、やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。
Aさんを勾留したまま捜査がなされる場合は、勾留の満期日までに、検察官が起訴・不起訴の別を判断します(処分を保留して釈放し、在宅事件に移行する場合もあります)。
~起訴された後は?~
今回のケースで起訴された場合、大麻の量等によっては実刑判決を受ける可能性があります。
実刑判決を回避するため、執行猶予付判決の獲得を目指すことが重要です。
そのためには、法廷で二度と薬物に手を出さないことを真摯に誓い、責任をもってAさんを監督できる身元引受人を用意する必要があります。
身元引受人にも弁護側の証人として出廷してもらい、証言してもらう必要があるでしょう。
また、Aさんが薬物に依存している場合には、薬物依存の治療プログラムを開始し、再犯防止に努めていることをアピールすることも考えられます。
弁護士のアドバイスを受けながら、Aさんにとって最も有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が、大麻栽培、大麻所持の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。