人身事故と刑事手続き
- 2021年6月19日
- コラム
人身事故と刑事手続き
人身事故と刑事手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、神奈川県横浜市戸塚区内の県道において自動車を運転中、道路を横断する歩行者Vさんに気付かず、あわててブレーキを踏みました。
かなり減速されてはいましたが、間に合わず、Vさんと衝突し転倒させてしまい、指の骨を折るなどの傷害を負わせてしまいました。
Aさんは直ちに神奈川県戸塚警察署と救急車を呼び、事故の報告、Vさんの救護を行いました。
その後、Aさんは神奈川県戸塚警察署に任意同行され、取調べを受けたあと、「後日改めて実況見分などをするから要請があれば出頭してほしい」と告げられ、帰宅しました。
今後どうなってしまうのか、刑務所に入らなくてはならないのか、など不安がつきません。
Aさんはどうするべきでしょうか。
(フィクションです)
~交通事故を起こした場合の3つの責任~
免許を取得している方は、事故を起こしてしまった場合、「刑事上の責任」、「民事上の責任」、「行政上の責任」を負うと聞いたことがあるかもしれません。
(刑事上の責任)
「刑事上の責任」の例として、その交通事故が犯罪を構成する場合、刑に処せられる可能性がある、という点が挙げられます。
ケースの場合は、Aさんにつき、過失運転致傷罪の嫌疑がかけられている可能性があります。
(民事上の責任)
「民事上の責任」として、事故の被害者に対し、治療費や休業損害、慰謝料などを支払わなければならない点が挙げられます。
ケースのVさんは傷害を負っており、通常は病院で治療を受けるでしょう。
Aさんはその治療費を賠償する責任があり、他にも、入・通院慰謝料などを支払う必要があります。
(行政上の責任)
「行政上の責任」の例として、事故を起こした方の免許が停止されたり、取り消されたりする可能性がある、という点が挙げられます。
~今後の捜査~
Aさんは警察官から「後日改めて実況見分などをするから要請があれば出頭してほしい」と告げられ、帰宅しています。
これは、逮捕されてはいないが、在宅事件として捜査がなされることを意味しています。
交通事故においては、被害者の傷害が軽く、Aさんが他に飲酒運転やひき逃げ行為などをしていなければ、現場や警察署で逮捕されてしまう可能性は一般的に低いといえます。
もっとも、過失運転致傷事件の被疑者になってしまったことにはかわりありません。
可能な限り有利な事件解決を実現するために、早期に弁護士と相談することをおすすめします。
~検察への送致~
警察段階における捜査が一段落すると、事件が検察へ送致されます。
送致後は検察官の取調べを受け、最終的に検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴処分とするかを判断します。
もし不起訴処分を得られれば、裁判にかけられることがないので、刑罰を受けることがなく、また、前科がつくこともありません。
ケースの事件の最も有利な事件解決像が不起訴処分の獲得ということができるでしょう。
~不起訴処分の獲得を目指す~
それでは、どうすれば不起訴処分を獲得できるのでしょうか。
ケースの場合は、Vさんに対して真摯に謝罪し、生じさせた損害を賠償して示談を成立させることが重要です。
Aさんが任意保険に入っていれば、通常、金銭面において心配しなければならない点はないでしょう。
適切な示談を成立させることにより、Aさんの「民事上の責任」を果たすことにもつながります。
Vさんと示談を成立させることができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
示談の際には、謝罪を受け入れた、保険支払いをもってお互いに債権債務は存在しないことを確認する、等の内容が盛り込まれた示談書を作成することになります。
さらに、示談書へ宥恕条項(Aさんに対する寛大な処分を希望するVさんの意思表示)を盛り込んでもらうことができれば、より有利になるでしょう。
まずは弁護士と相談し、最も有利な事件解決を目指すため、善後策を立てていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
過失運転致傷事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。