少年事件における観護措置
- 2021年6月23日
- コラム
少年事件における観護措置
少年事件における観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~事例~
神奈川県伊勢原市に住むAくん(14歳)は、市内の路上で帰宅途中の児童の身体を触るなどしたとして、迷惑防止条例違反の容疑で神奈川県伊勢原警察署に逮捕されました。
Aくんは、他にも同様の行為を行っており、Aくんの両親は、警察から、逮捕後に勾留される可能性が高いこと、そして家庭裁判所に送致された後も観護措置がとられる可能性があることを聞かされ、身体拘束が長期化することを心配しています。
(フィクションです。)
観護措置について
捜査機関は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合や、犯罪の嫌疑は認められないけれども家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
事件を受理した家庭裁判所は、事件がその管轄にある間いつでも、観護措置をとることができます。
観護措置は、家庭裁判所が調査や審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置です。
この観護措置には、家庭裁判所の調査官の観護に付す観護措置(これを「在宅観護」と呼びます。)と、少年鑑別所に送致する観護措置(「収容観護」といいます。)との2種類あります。
在宅観護は、調査官によって観護の目的の実現を図るもので、施設収容による身体拘束を伴わず、少年との接触や様々な条件などを通じて心理的な強制や拘束を加える方法で行われます。
しかしながら、実務上、在宅観護はほとんど活用されておらず、観護措置という場合は、少年鑑別所に収容する収容観護を意味するものとなっています。
観護措置の収容先である少年鑑別所は、鑑別対象者の鑑別、観護措置によって収容される者らに対する必要な観護処遇、非行及び犯罪の防止に関する援助を行う機関です。
少年鑑別所で行われる鑑別は、医学、心理学、教育学、社会学といった専門的知識や技術に基づき、少年について、非行や犯罪に影響を及ぼした資質的・環境的に問題となる事情を明らかにし、その事情を改善するために少年に対してどのような処遇とすべきかについて指針を示すものです。
観護措置の回避に向けて
観護措置の期間は、法律上は、2週間を超えることはできません。
特に継続の必要があるときに1回に限り更新することができます。
しかしながら、実務上は、ほとんどの事件で更新がされているため、観護措置の期間は通常4週間となっています。
観護措置は、家庭裁判所に事件が係属している間いつでもとることはできますが、捜査段階で逮捕・勾留されている少年については、家庭裁判所に送致されたときに観護措置がとられるのが通常です。
観護措置がとられると、1か月ほど少年鑑別所に収容されることになり、その間は学校や職場に行くことができません。
それにより、少年のその後の生活に大きく影響を及ぼしてしまう可能性もあり、不当・不要な身体拘束を避けるためにも、観護措置の回避に向けて活動することが重要となります。
観護措置の要件としては、少年法に「審判を行うため必要があるとき」と規定されていますが、実務上は次のような要件を充たす場合に観護措置がとられています。
①事件が家庭裁判所に係属していること。
②審判条件があること。
③少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること。
④審判を行う蓋然性があること。
⑤観護措置の必要性が認められること。
付添人である弁護士は、観護措置の要件や必要性がないこと、観護措置を避けるべき事情があることについて、意見書の提出や裁判官との面談などの方法により、家庭裁判所の裁判官に理解してもらうよう働きかけます。
観護措置の決定がなされた場合には、観護措置決定に対して異議申立を行ったり、観護措置取消の職権発動を促す申立を行うなどして、観護措置の決定を争い、少年の身体拘束を解くよう努めます。
このような活動は、少年事件に詳しい弁護士に相談・依頼するのがよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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