横領事件で逮捕を回避
- 2021年7月17日
- コラム
横領事件で逮捕を回避
横領事件で逮捕を回避する場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~事例~
神奈川県横浜市にある会社に経理担当として勤めていたAさんは、借金の返済に困り、とうとう会社のお金を着服するようになりました。
最初は、着服したお金を後に補填する形でしたが、だんだんと補填することができず、横領額は約100万円にのぼりました。
ある日、会社がAさんの不正に気付き、Aさんに横領行為について問いただしたところ、Aさんは横領を認めました。
会社は、Aさんに着服分を返還するよう求めており、神奈川県保土ヶ谷警察署へ被害届を出すことも検討していると言っています。
Aさんは、不安になり刑事事件専門弁護士に法律相談をお願いすることにしました。
(フィクションです。)
横領の罪
横領の罪として、刑法は、委託物横領罪、業務上横領罪、遺失物等横領罪について規定しています。
1.委託物横領罪(刑法252条1項)
自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
委託物横領罪の保護法益は、所有権および委託関係です。
委託物横領罪の客体は、「自己が委託関係に基づいて占有する他人の物」です。
「自己が委託関係に基づいて占有する他人の物」であると言えるためには、①物であること、②自己が占有すること、③その占有が委託に基づくこと、④それが他人の物であること、が必要となります。
①「物」は、財物のことを指し、窃盗罪とは異なり不動産も含みます。
②「占有」とは、物に対して事実上または法律上支配力を有する状態をいいます。
また、「占有」は、「委託関係」に基づいている必要があります。
委託関係は、一般的に民法の契約に基づいて発生しますが、法定代理人や法人の機関としての地位、事務管理、後見に基づく場合にも認められます。
④「他人の物」とは、他人の所有する財物のことです。
委託物横領罪の行為である「横領」は、不法領得の意思を実現する一切の行為を意味すると理解されており、「不法領得の意思」とは、他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思をいいます。
例えば、売買、贈与、質入れ、抵当権の設定、消費、着服、拐帯、抑留などが挙げられます。
委託物横領罪の例としては、レンタカーを返却せずに売りに出す、他人から預かった金銭を勝手に消費する、といったものがあります。
2.業務上横領罪(刑法253条)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
業務上横領罪は、その主体を「業務者」とする点において委託物横領罪の加重類型となっています。
本罪の主体である「業務上他人の物を占有する者」における「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復または継続して行われる事務を意味し、質屋や倉庫業者、法人・団体の物を職務上保管・管理する役職員がそれに当たります。
また、本罪の客体は、「業務上自己の占有する他人の物」であり、業務者であっても、業務外で占有している物や、業務の範囲を超えて占有する物は本罪の客体とはなりません。
上記事例で会社が警察に被害を申告した場合、Aさんが問われ得るとすれば、業務上横領罪となります。
3.遺失物等横領罪
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
遺失物等横領罪の客体は、所有者の占有を離れた物です。
「占有を離れた物」というのは、占有者の意思に基づかずにその占有を離れ、未だ誰の占有にも属していない物、または委託によらず偶然の事情によって自己の占有に帰した物をいいます。
例えば、電車内に乗客が置き忘れた財布や携帯電話、過誤によって支払いを受けた金銭、誤配達された郵便物などが挙げれらます。
横領事件で逮捕を回避するには
いずれの横領の罪の場合であっても、財産犯であるために、被害者への被害弁償が必須です。
被害者が捜査機関に被害を申告する前に被害者への被害弁償を行い、示談を成立させれば、捜査機関が事件を把握することなく事件を終了させることができます。
事件が当事者間で解決したとすることにより、刑事事件化を阻止し、横領事件で逮捕される危険を回避することができるというわけです。
ですので、横領事件が被害者に発覚した場合には、すぐにでも被害者への被害弁償、示談交渉を行うことが重要です。
ただ、示談交渉を当事者間で行えば、冷静な話し合いの場を持つことが難しく、両者の関係性が悪化してしまうおそれもあります。
そのため、弁護士を代理人としてたて、示談交渉を行うのがベターでしょう。
また、事件が捜査機関に発覚し、刑事事件として捜査が開始された場合であっても、すぐに被害弁償、示談を成立させることができれば、被害者が被害届を取下げ、早期に事件を解決する可能性を高めることができます。
横領事件を起こし、被害者に横領行為が発覚した場合には、すぐに弁護士に相談し、被害者への被害弁償、示談交渉を行いましょう。
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