パワハラで刑事事件に
- 2023年8月2日
- コラム
パワハラで刑事事件に
いわゆるパワハラにより刑事事件に発展したという事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市戸塚区在住のAさんは、横浜市戸塚区にある会社に勤める会社員です。
Aさんには後輩Vさんが居ましたが、他の同僚に比べて仕事が遅いと感じたAさんは、日頃から同僚の前で叱責したり、頬を叩く・耳をつねる・尻を蹴る・お茶をかけるなどのパワハラと呼ばれる行為を繰り返していました。
Vさんパワハラについて友人に相談したところ、パワハラは刑事事件になる可能性があるから被害届を提出した方が良いとアドバイスを受け、Vさんは横浜市戸塚区内を管轄する戸塚警察署の警察官に相談しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【パワハラについて】
パワーハラスメント、いわゆるパワハラという言葉が世に知れ渡るようになって久しいところです。
パワハラは法律用語ではなく、職場内でのパワハラについては厚生労働省のホームページで以下のとおり定義されています。
職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
どこまでが業務指示・指導で、どこからがパワハラになるかについては、評価が容易ではありません。
しかし、Aさんのように頬を叩いたり繰り返し責するような行為は、パワハラに該当すると言えるでしょう。
パワハラは、所轄の労働局から是正勧告などを受けたり、被害者が加害者や企業に対して損害賠償を請求するなどの民事上の問題が生じたりするだけでなく、加害者自身は次章のように刑事事件に発展する可能性があります。
【パワハラで刑事事件】
パワハラが刑事事件に発展する場合としては、以下のような態様が考えられます。
・暴行罪/傷害罪
加害者が被害者に対して暴行を加える方法行われたパワハラは、暴行罪や傷害罪に該当します。
また、暴行がなかったとしても、厳しい叱責の結果被害者がPTSDに陥った場合にも、傷害罪の適用が検討されます。
条文は以下のとおりです。
(暴行罪)
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
(傷害罪)
刑法204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
・脅迫罪
パワハラに際して言葉で「殺してやろうか」「家を燃やす」などの発現があった場合、脅迫罪に問われます。
条文は以下のとおりです。
(脅迫罪)
刑法222条1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
・名誉毀損罪
例えば全体集会など多数の者に聞こえるような形で被害者の人格を否定したり、トークグループなどで名誉を害するようなコメントをするようなパワハラ行為は、名誉毀損罪の適用が考えられます。
条文は以下のとおりです。
(名誉毀損罪)
刑法231条1項 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
他にも、パワハラの態様によって様々な罪の成立が考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、パワハラで刑事事件に発展した場合の弁護活動に対応しています。
神奈川県横浜市戸塚区にて、パワハラにより刑事事件に発展した場合、あるいはする可能性がある場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族がパワハラで逮捕・勾留された場合はこちら。