死亡事故で控訴
- 2023年7月12日
- コラム
死亡事故で控訴
車の運転中に事故を起こしてしまい被害者が死亡してしまったという死亡事故を想定し、問題となる罪と控訴審について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県相模原市緑区在住のAさんは、相模原市緑区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、日中の直線道路で赤信号を見落としてしまい、横断歩道を歩いていた歩行者Vさんと接触しVさんが亡くなってしまうという死亡事故を起こしてしまいました。
目撃者からの通報を受けて臨場した相模原市緑区を管轄する津久井警察署の警察官は、Aさんを過失運転致死事件で現行犯逮捕した後、検察官はAさんを勾留請求せずに釈放し、在宅で捜査し起訴しました。
Aさんは一審で実刑判決を言い渡され、弁護人と相談のうえ控訴しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【死亡事故について】
今回のAさんは、車を運転していて歩行者に接触してしまい死亡させてしまったという死亡事故を想定しています。
その原因として、Aさんが赤信号と横断歩道を渡っている歩行者Vさんの両方を見落としていることから、Aさんに過失(本来であれば車を運転する際に当然に行う注意義務の違反)があると評価されるでしょう。
この場合、以下の過失運転致死罪に問われます。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
なお、運転に際してお酒や薬物の影響を受けて運転していた場合や制御できないほどの高速度で走行していた場合などには、危険運転致死傷罪が適用され、さらに厳しい刑事処罰を科せられます。
【控訴の手続き】
控訴とは、通常地方裁判所又は簡易裁判所で行われた一度目の裁判(第一審)に不服などがある場合に、14日以内に提起することができます。(刑事訴訟法372条)
控訴審は原則として札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡にある高等裁判所又は各高等裁判所の支部にて行われます。
どのような裁判でも控訴が出来るわけではなく、控訴するためには控訴の理由が必要です。
控訴の理由には、下記のような理由が挙げられます。
・法律に従って判決裁判所を構成しなかった場合。(刑事訴訟法377条1号)
・法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与した場合。(同条2号)
・審判の後悔に関する規定に違反した場合。(同条3号)
・不法に管轄又は管轄違いを認めた場合。(刑事訴訟法378条1号)
・不法に控訴を受理し、又はこれを棄却した場合。(同条2号)
・審判の請求を受けた事件について判決をせず、または審判の請求を受けない事件について判決を下した場合。(同条3号)
・判決に理由を附せず、又は理由に食い違いがある場合。
・上記の場合を除き、訴訟手続き(刑事訴訟法379条)や法令の適用(同380条)に違反や誤りがあって、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。
・量刑が不当である場合。(刑事訴訟法381条)
・事実の誤認があってその後人が判決に影響を及ぼすことが明らかである場合。(刑事訴訟法382条)
・その他、再審の要件を満たす場合。(刑事訴訟法383条1号)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県相模原市緑区にて、車を運転中に死亡事故を起こしてしまい実刑判決を受け、控訴を検討しているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。