空き巣で控訴保釈
- 2021年2月13日
- コラム
空き巣で控訴保釈
他人の家に入って金品を盗む空き巣事件で問題となる罪と控訴保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県厚木市在住のAは、厚木市内の会社に勤める会社員です。
Aは金に困り、厚木市内の留守中の家を狙って空き巣を繰返し、盗んだ宝石などの貴金属は転売し、現金や商品券はそのまま使用しました。
複数の被害者から被害届を受けた厚木市内を管轄する厚木警察署の警察官は、捜査の結果一連の空き巣事件がAによるものであるとして、Aを逮捕しました。
その後、Aは再逮捕が繰り返された後に保釈が認められましたが、一審判決で実刑判決になった場合には判決言い渡し直後に収容されると聞き、控訴保釈について弁護士に無料相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【空き巣事件で問題となる罪】
住人などが居ない間に無断で家や部屋に忍び込み、現金や貴金属を盗むいわゆる空き巣という行為は、以下のような罪にあたります。
・住居侵入罪
他人の家に無断で侵入する行為は、住居侵入罪に当たります。
条文は以下のとおりです。
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
・窃盗罪
他人の物を盗む行為は窃盗罪に当たります。
窃盗罪の条文は以下のとおりです。
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
空き巣事件では、上記いずれかの罪で検挙されることになりますが、窃盗の目的で他人の家に侵入した場合、両者は牽連関係にあるとして最も重い罪である窃盗罪で処罰されます。
【一審の保釈について】
刑事事件では、捜査に必要と判断されると逮捕され、勾留されることになります。
勾留された場合、勾留請求日から数えて最大で20日間、行われます。
被疑者の担当検察官は勾留満期日までの間に収集した証拠や取調べでの内容(供述聴取書)を踏まえ、起訴するか否かを検討します。
起訴されない場合(あるいは不起訴と決めた場合)や略式手続により罰金刑等を受けることに決めた場合、被疑者は釈放されることになります。
起訴された場合、被疑者は被告人という呼称に変わり、刑事裁判を受けることになります。
起訴された後の被告人が釈放されるということは極めて稀で、起訴された後も「起訴後勾留」というかたちで身柄拘束されます。
起訴後勾留は起訴されてから2カ月ですが、その後も1ヵ月毎に延長することができるため、制度上は判決言い渡しを受けるまでずっと身柄拘束をすることができます。
被告人の身柄を解放するためには、弁護側は保釈請求を行う必要があります。
保釈請求は裁判所に宛てて行われ、裁判官は担当検察官から意見を聞いた上で保釈決定を下すかどうか判断します。
裁判官は保釈を認める場合、保釈保証金額や保釈条件を定めます。
被告人は保釈許可決定を受け、裁判官が決めた保釈保証金を納付することで釈放されます。
保釈保証金が用意できなかった場合には身柄解放はできず、保釈された後も保釈条件に違反した場合には保釈は取り消され、納付した保釈保証金は没取されます。
保釈の効力は一審の判決言い渡しまでです。
【控訴保釈について】
一審で罰金刑や執行猶予付きの懲役・禁錮刑を受けた場合、保釈されていない被告人は釈放され、保釈されていた被告人は保釈金が還付されます。
しかし、一審で執行猶予がつかない懲役刑や禁錮刑の判決言い渡しを受けた場合、保釈の効力は取り消されます。
保釈を受けていた被告人は、閉廷直後に身柄拘束され、収監手続が行われます。
保釈条件を守っていた場合、保釈金は全額還付されます。
もし、被告人が一審の判決に不服で控訴を申し立てた場合でも、収監手続は進行するため、釈放を求めるためには控訴保釈を請求する必要があります。
控訴保釈は一審で実刑判決を受けていることから逃亡の恐れがあると評価される可能性が高いため、認められなかったり認められたとしても保釈保証金額が高くなる可能性があります。
神奈川県厚木市にて、御家族が空き巣をしたことで住居侵入罪や窃盗罪で逮捕・勾留されて一審判決で実刑判決が下される可能性があり控訴保釈について知りたいという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
保釈中の方については、事務所にて無料で相談を受けることができます。