バーの無届営業
- 2020年11月3日
- その他の刑法犯事件
バーの無届営業
バーのような深夜にお酒を提供するお店を届出なしに営業していた場合の風営法(風適法)違反での刑事罰について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横須賀市在住のAは、横須賀市で会社に勤めていますが、副業としてバーを開店しようと考えました。
しかし、初期投資を押さえようとした結果、行政書士などには依頼せず、バーではなく単なる飲食店としての届出さえすればいいだろうと考え、保健所に対する飲食店営業許可だけをとり、それ以外の手続きを怠っていました。
そして開店して数日が経った後、Aの店に横須賀市を管轄する浦賀警察署の警察官が来て、無届営業として捜査を受けることとなりました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【風俗営業法について】
まず、我が国の憲法では職業選択の自由が定められているため、原則としてどのような仕事でもできます。
しかし、医師や看護師等高度な技術を必要とする職業については資格がなければできないと定められているほか、公序良俗に反する仕事については制限や規制の対象となる場合があります。
その規制を設けている法律の一つが、風俗営業法、風営法、風適法などと呼ばれる「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」というものです(以下では風俗営業法で統一します。)。
風俗営業法というといわゆるソープランドやデリバリーヘルスといった性風俗や性風俗を想起される方も少なくないでしょう。
勿論、それらも風俗営業法上に規定されているのですが、それだけでなく、いわゆるキャバクラやホストクラブ、雀荘、パチンコ店、ゲームセンターなどもその対象です。
よって、それらの営業をする場合には各都道府県の警察署に届出をしたり許可を受ける必要があります。
バーについては、深夜0時~早朝6時の間に営業をする場合「深夜種類提供飲食店」に該当するため、風俗営業法上の届出をする必要があります。
【風俗営業法違反での弁護活動】
風俗営業法違反の場合、行政上の処分と刑事上の処分があります。
行政処分については、許可取消・営業停止・指示といった処分を受けることがあるほか、違反した場合にはその後改めて許可を受けることが難しくなります(一度処分を受けた方が、改めて開業する際に処分されていない別の人の名前を使うことは名義貸しと呼ばれて別途厳しい処罰を受けることに繋がります。)。
そして行政処分とは別に、刑事事件として発展することもございます。
ケースについて検討すると、Aの行為は深夜酒類提供飲食店の無届営業に当たる可能性があります。
具体的に、風俗営業法33条で「酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した届出書を提出しなければならない。」と定められていて、これに違反することになります。
罰則規定については「五十万円以下の罰金に処する。」と定めれられています。(風俗営業法54条6号)
風俗営業法違反でも、刑法犯などと同様に逮捕され、勾留される可能性があります。
また、最終的に略式手続や刑事裁判になり、罰金や懲役刑といった処罰を受けることもございます。
よって、刑事事件の弁護活動としては、逮捕・勾留された場合には身柄解放活動が考えられるほか、検察官の終局処分に際して犯歴や内省の状況などを積極的に主張していく必要があると考えられます。
同種前科が多数ある場合や悪質な営業をしていた場合には正式裁判になることも考えられるため、裁判での対応についても重要になるでしょう。
神奈川県横須賀市にて、風俗営業法上の届出をせずにバーなどを運営して風俗営業法違反で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。