キャッシュカードを渡して犯収法違反
- 2020年7月2日
- コラム
キャッシュカードを渡して犯収法違反
銀行のキャッシュカードを一時的に貸したものの返してもらったにも関わらず捜査を受ける場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市瀬谷区在住のAは、横浜市瀬谷区の会社でアルバイトとして生活をしています。
しかし、生活費が足りず大手の金融機関からの借金も返済できなくなったAは、多少金利が高くても仕方がないと考え、インターネット上で「ブラックリストOK」と書かれたサイトに登録し、連絡を待ちました。
その後金融業者と名乗る者から連絡があり、「確実にお金を振込むためにキャッシュカードを送り、パスワードを教えてください。残額は0円の口座で構いません。」と言われました。
Aは明らかにおかしいと思いつつ、それでも金を借りなければ生活が出来ないと考え、指示に従って自身が持っていた残額0円のキャッシュカードとパスワードを書いた紙を指定された横浜市瀬谷区の住所に郵送しました。
後日後、キャッシュカードが帰ってきたAは通帳印字したところ、誰のものか分からない名義で150万円が入金されていて、うち125万円がキャッシュカードで引き出されていました。
その数か月後、突然Aの自宅に横浜市瀬谷区を管轄する瀬谷警察署の警察官が来て、家宅捜索を行った上で後日取調べを行うと言われました。
Aは、自身の行為がどのような罪になるのか、取調べ前に刑事事件専門の弁護士に無料相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【キャッシュカードを渡して詐欺に加担?】
特殊詐欺をしているグループ(あるいは個人)は様々な形で証拠が残らないようにしてお金を受け取ろうとしています。
ケースの行為もそのような一例で、被害者からA(第三者)名義の銀行口座にお金を振込ませ、それを引き出すという方法で被害金額を受け取る形です。
よって、Aがキャッシュカードを渡した行為は、結果として詐欺に加担したことになるのです。
仮にAが特殊詐欺グループの一員で、詐欺に使用されることが分かっていながら口座を使わせた場合であれば、Aは詐欺の共犯関係に当たりますが、ケースの場合に共犯関係にあたるとは言えないでしょう。
【犯収法違反について】
とはいえ、Aがした「キャッシュカードを他人に渡す」という行為は犯罪収益移転防止法(通称:犯収法)に違反する可能性があります。
該当条文は以下のとおりです。
犯収法29条1項 他人になりすまして第二条第二項第三十号に掲げる特定事業者…との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること又はこれらを第三者にさせることを目的として、当該為替取引に係る送金の受取用のカード、送金又はその受取に必要な情報その他資金移動業者との間における為替取引による送金又はその受取に必要なものとして政令で定めるもの…を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。通常の商取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。
【取調べの前に弁護士と相談】
このように、知らず知らずのうちに事件の加害者になっている、という場合もございます。
ある日突然警察から連絡が来るなどした場合、ご不安になることも多いでしょう。
そのような場合、まずは刑事事件専門の弁護士に相談をして、自分のどのような行為が問題になっていてどのような認識でしてしまった行為なのか、取調べ前に整理することをお勧めします。
神奈川県横浜市瀬谷区にて、キャッシュカードを渡してしまうなどして犯収法違反の嫌疑をかけられている方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
在宅捜査中の事件の場合、無料相談が受けられます。
ご予約は0120-631-881まで。