著作物の違法販売で逮捕
- 2020年11月17日
- その他の刑法犯事件
著作物の違法販売で逮捕
紙媒体の漫画を家庭用の複合機でスキャンして違法に有料販売した場合の刑事事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市瀬谷区在住のAは、横浜市瀬谷区内の会社に勤める会社員です。
Aは小遣い稼ぎをするべく、自身の購入した漫画などをネット上で販売しようと考え、自身の持っている漫画を自身が持っている複合機でスキャニングしたうえで、SNS上で知り合った相手に有料での販売を繰返しました。
しかし、神奈川県警察署の警察官が自宅に来て、漫画を違法アップロードしていた嫌疑での著作権法違反として逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAの家族は、違法アップロードで逮捕された場合の見通しについて、刑事事件専門の弁護士に相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【著作権法違反について】
我が国では、人の知的創造活動の成果について、その創作者に知的財産権というものを認めています。
知的財産権には、例えば特許権や意匠権、商標権などがあります。
ケースのAが侵害している「漫画」等については、著作権という知的財産権を認めています。
著作権は、特許権や商標権とは異なり、出願の手続きなしに認められる権利です。
この著作権について定めている法律が、著作権法です。
著作権法は著作物について「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定めています。(著作権法2条1項1号)
そして、その著作物の例として、①小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物②音楽の著作物③舞踊又は無言劇の著作物④絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物⑤建築の著作物⑥地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物⑦映画の著作物⑧写真の著作物⑨プログラムの著作物、を列挙しています。(同法10条1項1号)
そして、この著作物は基本的に個人で楽しむことを目的としているため、著作物を他人に渡すためにコピーしたり、インターネット上にアップロードしたりする行為は、著作権を侵害する行為に当たります。
著作権侵害の場合の法定刑は「著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者…は、十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」とされています。(著作権法119条1項)
なお、TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の締結に伴い、従来は親告罪といってた著作権侵害について、有料で販売しているものを複製して送信してしまう場合等については「非親告罪」とされているため、捜査機関は刑事告訴なしで起訴することが出来るとされいています。(同法123条2項1号)
【逮捕後に弁護士に依頼】
著作権侵害事件の場合、その多くは一回限りというわけではなく、繰返し侵害に当たる行為を行っている場合が少なくありません。
捜査機関としては、それらの証拠品や販売の履歴などを捜査しなければならないため、逮捕することが十分に考えられます。
逮捕された場合、警察署の留置施設等に身柄を拘束されるため、孤立無援の状態になってしまい誰にも助言を受けることなく取調べに臨まなければなりません。
そのため、御家族が逮捕された場合、すぐに弁護士を入れることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は著作権法違反などの刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
神奈川県横浜市瀬谷区にて、御家族が著作権侵害などの罪で逮捕された場合、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。