電車内でのトラブル
- 2020年6月23日
- コラム
電車内でのトラブル
電車内でのトラブルで「行為」が問題となる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【事件】
神奈川県横浜市青葉区在住のAさんは、横浜市青葉区を走行する電車にて強い睡魔に襲われました。
車中で何度も意識がなくなりそうになりつつ、無意識のうちに体がビクッと動くいわゆるジャーキングが繰り返され、最後には上半身が倒れそうになり咄嗟に手をつきました。
ところが、Aさんが手をついたのは隣に座っていた女性Vさんの太腿で、これによりAさんは痴漢を疑われ、女性が通報したことで臨場した横浜市青葉区を管轄する青葉警察署の警察官から取調べを受けることになりました。
(フィクションです。)
【他人に触れる行為で問題となる罪について】
今回のAさんのケースでは、Aさんはジャーキングによって上半身が倒れるのを防ぐために咄嗟に(無意識のうちに)Vさんの太腿に手をついてしまいました。
まず、電車内のような公共の場所で他人の太腿を触った場合、いわゆる痴漢行為として各都道府県の迷惑防止条例が問題となります。
ケースについては神奈川県横浜市青葉区での事件ですので、神奈川県迷惑行為防止条例違反により処罰されます。
神奈川県迷惑行為防止3条1項 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
同条1号 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
次に、Aさんは身体を支えるためにVさんの太腿に手をついていることから、相当の体重がかけられていたことして暴行罪が問題となることも考えられます。
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
【行為性について】
我が国の刑法では「行為」だけが処罰の対象となっていて、思想・信条や意思等については内心に留まる限り、処罰の対象とはなりません。
処罰の対象となり得る行為は、広い意味での「人の行為の中でも意思に基づく身体の動静」と定義されています。
そのため、反射運動やその他の意思に基づかないものは行為から除外されます。
過去の裁判例には、殺されそうになる夢をみていた被告人が極度の恐怖感におそわれ、半覚半睡の状態で相手の首を絞めるつもりで隣で寝ていた妻の首を絞め殺害した事件で,妻の首を絞めた行為は意思支配によらないもので行為に当たらないとしたものがあります(大阪地判昭和37・7・24下刑集4巻7・8号696頁)。
ここでの意思は単にその行為を行う意思であればよく、目的や結果に対する予見・認識などが必要とされる故意・過失とは別のものです。
【弁護活動について】
ケースの場合の弁護活動の一つとして、あくまでAさんがVさんの太腿に触れてしまったのはジャーキング現象による無意識のうちの行動であり、行為性がなく罪にならないという主張が考えられます。
しかし、嫌疑をかけられて取調べを受けている被疑者の方が、警察官や検察官に対して行為性の有無について説明することは難しいかもしれません。
そのような場合、刑事事件を専門とする弁護士に依頼をした上で、捜査機関に対してしっかりと主張していくことが有効です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件を取り扱ってきました。
痴漢や暴行と言った事件の嫌疑をかけられている方、あるいは神奈川県青葉警察署での取調べを受けることになってしまったという方は、お早めに弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。
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