動画配信中の脅迫事件で逮捕されたら
- 2021年10月27日
- コラム
動画配信中の脅迫事件で逮捕されたら
動画配信中の脅迫事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県川崎市多摩区に住むAさんは,神奈川県多摩警察署の警察官により脅迫罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは,神奈川県多摩警察署の警察官からは「ライブ動画の配信中に,知人のVさんに対して,『お前のところに今から乗り込む。待ってろ。さらって殺す。』などと脅迫した。」と被疑事実を告げられました。
また,Aさんは,神奈川県多摩警察署の警察官から,Aさんの動画配信を視聴していたVさんから脅迫事件の被害届が出されたために逮捕に至ったと聞きました。
(2021年3月11日にテレビ静岡NEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【脅迫罪とは】
今回のAさんの逮捕容疑である脅迫罪は,以下のように定められている犯罪です。
刑法222条1項
生命,身体,自由,名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
刑法222条は,生命,身体,自由,名誉又は財産に対し,「害を加える旨」を「告知」して人を脅迫した者には,脅迫罪が成立すると定めています。
脅迫罪の成立要件である「害を加える旨」とは,これから害を加えることをいいます。
この害悪は,被疑者の方が支配することができる,結果を左右することができるものでなければなりません。
そして,害悪の内容は,一般人を畏怖させるに足りるものでなければ,脅迫罪の「害を加える旨」に当たりません。
刑事事件例では,AさんはVさんに対して,「お前のところに今から乗り込む。待ってろ。さらって殺す。」と言っており,Vさんの生命や身体,自由に対してこれから害を加えることを告げているといえます。
そして,Vさんの生命等に対する加害は,当然にAさん自身が「するか,しないか」という結果を左右することができるものです。
一般人からしてみても,上記のような加害する旨を告げられた場合,自身の安全が脅かされるのではないかと畏怖すると考えられます。
よって,Aさんの脅迫文言は,脅迫罪の「害を加える旨」に当たると考えられます。
また,脅迫罪の成立要件である「告知」の方法に制限はありません。
よって,刑事事件例のような動画配信中に口頭による場合も,脅迫罪の「告知」に当たると考えられます。
以上から,Aさんには脅迫罪が成立することになります。
【脅迫事件の刑事弁護活動】
脅迫罪は被害者の方が存在する犯罪です。
そこで,被害者の方と早期に示談をすることができれば,検察官の処分・裁判所の判決などにおいて,被疑者の方にとって有利な結果が得られる可能性が高まります。
しかし,脅迫事件の被害者の方は,被疑者の方が直接示談のための連絡を取ってきた場合には,恐怖心から警戒していたり,さらには感情的になって処罰感情が強くなってしまったりする可能性もあります。
例えば,脅迫事件の被害者の方は,被害届を出したことに対してさらに被疑者の方に脅迫され,口止めを強いられるのではないかと警戒し,示談交渉のテーブルにつくことすら困難になる場合があります。
そこで,被疑者の方と被害者の方の間に刑事弁護士が入り,円滑な示談ができるように仲介をすることができます。
その際には,被害者の方の処罰感情や意向を十分に考慮しつつ,被疑者の方による正式な謝罪と相応の被害弁償ができるように示談交渉に努めます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
動画配信中の脅迫事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。