不同意わいせつ罪とは
- 2023年7月19日
- コラム
不同意わいせつ罪とは
刑法改正により強制わいせつ罪が不同意わいせつ罪と変わりました。
今回は、不同意わいせつ罪の要件などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市中区在住のAさんは、横浜市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは事件当日、SNSで知り合ったVさんと初めて会い、飲食をした後、横浜市中区にある公園のベンチで座って話をしていました。
その際、AさんはVさんの胸部に手を伸ばしたうえで「ちょっと触っても良いかな」と言い、Vさんが「まだそういうのは駄目」と言いましたが、Aさんは構わずVさんの服の上から乳房を揉みしだきました。
その後、AさんはVさんと連絡が取れない状況になりました。
後日、Aさんは加賀町警察署の警察官から連絡を受け、不同意わいせつ罪で被害届が出ているから出頭するよう言われました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【不同意わいせつ罪の条文】
令和5年6月16日の改正刑法により、従来「強制わいせつ罪」「準強制わいせつ罪」と称されていた罪が「不同意わいせつ罪」と変わりました。
条文は以下のとおりです。
刑法176条1項 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。
1号 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
2号 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
3号 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
4号 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
5号 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
6号 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
7号 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
8号 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2項 行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3項 16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
【事例は不同意わいせつ罪に当たるか】
法改正以前の刑法では、強制わいせつ罪の定義は「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者」と「13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者」としていました。
暴行又は脅迫とされているため、暴力や暴言のほか、隙をついて行うわいせつ行為も暴行として処罰対象とされていました。
今回想定している事例では、Vさんは抵抗する隙があり、Aさんも暴行や脅迫を行っていないことから、強制わいせつ罪としては問えなかったと考えられます。
しかし不同意わいせつ罪の場合、176条1項5号で「同意しない意思を…表明し」「わいせつな行為をした者」としていることから、Aさんの行為は不同意わいせつ罪に当たると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、法改正されたばかりの「不同意わいせつ罪」「不同意性交罪」「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律(性的姿態撮影等処罰法)違反」などの弁護活動にも対応しています。
神奈川県横浜市中区で不同意わいせつ罪で取調べを受ける予定がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による無料法律相談をご利用ください。