不正アクセス禁止法で示談交渉
- 2020年6月12日
- コラム
不正アクセス禁止法で示談交渉
不正アクセス禁止法違反で捜査を受けている場合の示談交渉等の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県座間市在住のAは、座間市内の会社に勤める会社員です。
ある日Aは会社の会議室にて、好意を寄せている同僚Vが忘れて行ったスマートフォンを拾いました。
Aが何気なくスマートフォンのボタンを押したところ、スマートフォンはロックがかかっておらず、中が見られる状態でした。
そこでAは、Vのスマートフォンを操作してアカウント情報(ログインID・メールアドレス・パスワード等)を調べ、自分のスマートフォンからメールアドレスやSNSにログインをした後、何事もなかったかのようにスマートフォンをVに返しました。
しかし、後日Vが操作中に何者かが自分のアカウントにログインしていることに気が付き、座間市を管轄する座間警察署の警察官に相談をしました。
その結果、Aが不正にVのアカウントにログインしていることが発覚したため、警察官はAを不正アクセス禁止法違反で通常逮捕しました。
Aの家族は、示談交渉を含めた不正アクセス禁止法違反での弁護活動について、弁護士に刑事事件専門の弁護士に質問をしました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【不正アクセス禁止法について】
情報化社会の進化が著しい今日に於て、スマートフォンやパソコンといったネットワーク環境に全く触れていないという方は少ないことでしょう。
そこで生まれた新たな問題の一つに、不正アクセスが挙げられます。
不正アクセスは、ケースのように他人のIDやパスワードを取得して勝手にログインをしたり、セキュリティホール(プログラムの不備等)を攻撃してそのコンピュータに潜り込んだりすることを意味します。
不正アクセスの目的は様々ですが、ケースのように相手の情報を知りたい場合、あるいは盗みたい場合の他、財産的利益を得るといった場合が考えられます。
なお、最近ではスマホゲームで他人のアカウントに無断で不正アクセスしてログインするという事件も発生しています。
このような不正アクセス行為は、不正アクセス禁止法(正式名称は不正アクセス行為の禁止等に関する法律)によって禁止されています。
ケースの場合、まず被害者のコンピュータを勝手に利用してログインに必要な情報を取得した後、被害者になりすましてメールやSNSにログインしています。
これは、不正アクセス禁止法が禁止している「なりすまし行為」に当たります。
なりすまし行為とは、本来であればアクセス権限がある人以外がアクセスできないサイトやアカウントに、識別符号(IDやパスワード等)を入れてアクセス権限がある者となりすましてアクセスする行為です。
不正アクセス禁止法3条 何人も、不正アクセス行為をしてはならない。
同2条4項1号 アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
同11条 第三条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
【示談交渉】
不正アクセス禁止法違反事件では、不正にアクセスされた被害者がいることになります。
そのため、不正アクセス禁止法違反事件での弁護活動の一つに、示談交渉が挙げられます。
示談交渉自体は一般の方でも行うことはできますが、ケースのような興味本位で好意を持っている相手のスマートフォンを勝手に弄った挙句パスワードなどを盗み見て不正アクセスしているという場合、被疑者自身や被害者と直接示談交渉をすることは困難と考えられます。
そのため、弁護士に依頼して示談交渉を行うことをお勧めします。
神奈川県座間市にて、ご家族が不正アクセス禁止法違反で逮捕された、あるいは在宅で事件が進んでいるという場合について、示談交渉などの弁護活動について尋ねてみたいと言う方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
フリーダイヤル:0120-631-881