風俗トラブルで示談交渉
- 2020年11月10日
- コラム
風俗トラブルで示談交渉
いわゆる風俗トラブルに発展してしまい示談交渉を行う場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市神奈川区在住のAは、横浜市神奈川区内の会社に勤める会社員です。
Aはしばし、仕事の帰りにいわゆるソープランドに行って性的なサービスを受けることを趣味としていました。
ある日、Aのスマートフォンに見知らぬ電話番号からの不在着信がありました。
架け直したところ、電話先はAが何度か利用した風俗店の店員を名乗る者で、Aが風俗嬢Vに対して無理やり口腔性交(自身の陰茎を相手の口に入れる行為)をさせたということで、Vがショックで出勤できなくなっているというものでした。
そしてAは、損害と慰謝料を支払うか、警察に被害届を提出するかの2択だと言われました。
Aは、風俗トラブルで刑事事件に発展する可能性があるのか、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士に相談しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【風俗トラブルで刑事事件に?】
御案内のとおり、いわゆるソープランド(店舗型風俗)やデリバリーヘルス(非店舗型風俗)といった性風俗を提供している店が日本各地に存在しています。
このような店では、金銭を支払うことで性的なサービスを受けることができるとされています。
とはいえ、風俗嬢の同意なしに以下のような行為をした場合には、刑事事件に発展する可能性があるため、注意が必要です。
・強要罪
性風俗店のサービスを受けるという時点で、ある程度の性的な行為については同意があると考えられます。
しかし、例えば相手が拒んだにも拘らず陰部を握らせるなどの性的なことをさせたり、連絡先を教えるよう執拗に依頼するなど、風俗嬢にとって何ら義務のないことをさせた場合には、強要罪が適用されると考えられます。
・強制性交等罪
強制性交等罪は、平成29年の刑法改正以前は強姦罪と言われていた罪です。
刑法177条は、強制性交等罪について「十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」と定めています。
もとより売春防止法では売春や買春を禁止しているため(売春防止法3条)、性行為はできないこととされています。
但し、風俗嬢が合意した場合、売春防止法には違反する可能性がありますが、強制性交等罪には当たりません。
一方で、風俗嬢の合意なく、無理やり性行為や肛門性交(被害者の肛門に陰茎を入れる行為)や口腔性交(ケースのように被害者の口に陰茎を入れる行為)をした場合には、強制性交等罪が適用されます。
・盗撮
風俗嬢が服を脱いでいる状況や性的なサービスをしている状況で、風俗嬢の同意なしに撮影をするいわゆる盗撮行為をした場合、迷惑防止条例又は軽犯罪法に違反する可能性があります。
ケースの場合は神奈川県横浜市神奈川区での事件ですので「神奈川県迷惑行為防止条例」が問題となりますが、同条例は3条2項で「何人も、人を著しく羞恥させ、若しくは人に不安を覚えさせるような方法で住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服等の全部若しくは一部を着けないでいるような場所にいる人の姿態を見、又は、正当な理由がないのに、衣服等の全部若しくは一部を着けないで当該場所にいる人の姿態を見、若しくはその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、若しくは人に向けてはならない。」と定められています。
法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
【示談交渉について】
風俗トラブルでは、風俗嬢というよりは風俗店の店長又は店員が連絡をしてくる場合がほとんどです。
そして、ケースのように具体的な金額を明示せず、示談金等の名目で金銭を支払うか、さもなくば被害届を提出する等の説明を行います。
このような場合、相手と調整をした金額を払えば済むのかというとその保証はなく、支払い後に捜査機関に被害申告がなされる可能性も否定できませんし、金額が吊り上がり法外な金額に至る可能性もあります。
そのため、風俗トラブルに発展した場合には自ら示談交渉を行う前に、弁護士に相談をすることをお勧めします。
神奈川県横浜市神奈川区にて、風俗トラブルで刑事事件への発展を示唆されているという方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。