護身用ナイフで書類送検
- 2021年2月6日
- その他の刑法犯事件
護身用ナイフで書類送検
護身用ナイフを所持していた場合の罪と書類送検について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市西区在住のAは、横浜市西区内の会社に勤める会社員です。
Aは以前、ひったくりの被害に遭ったことから、刃体が8cmの折り畳みナイフを護身用に持っていました。
ある日、横浜市西区内を歩いていたところ、戸部警察署の警察官から職務質問を受けました。
そこで護身用ナイフを所持していたことが発覚しました。
Aは警察官から、書類送検すると言われました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【刃物を持ち出した場合の罪】
ケースのAについて見てみると、ナイフを携帯しています。
ナイフを所持していたことで問題になる法律は、下記が考えられます。
・銃砲刀剣類所持等取締法違反(銃刀法違反)
銃刀法は刃体の長さが6cmを超える刃物を携帯してはならないと定めています。
条文は以下のとおりです。
銃刀法22条 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
例えば、包丁を購入して包装を施された上でカバンに入れて自宅に持ち帰る場合や、板前などが職場と自宅の間で包丁を布で巻いた上でカバンに入れて携帯している場合であれば、「業務その他正当な理由」に当たると考えられるため、銃刀法違反にはならないと考えられます。
一方で、護身の目的で刃物を携帯することは「業務その他正当な理由」に当たらないとされているため、護身目的で刃物を携帯することは銃刀法違反に当たる可能性があります。
・軽犯罪法違反
持っていたナイフの刃体の長さが6cm未満の場合、銃刀法には違反しません。
しかし、銃刀法に違反しなかった場合でも、軽犯罪法に違反する可能性があります。
条文は以下のとおりです。
軽犯罪法1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
2号 正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
【書類送検について】
警察官・検察官といった捜査担当者が事件を立件する事件には、身柄事件と在宅事件の2種類があります。
身柄事件とは、被疑者が逮捕され、勾留される事件です。
捜査機関が、刑事事件を起こした被疑者の状況を検討したときに、身柄を拘束しなかった場合に逃亡する恐れがある、あるいは証拠を捨てたり被害者を脅したりするなどして証拠を隠滅する恐れがある等の恐れがみとめられると、被疑者(容疑者)が逮捕・勾留される身柄事件として捜査が進みます。
逮捕された被疑者は48時間以内に検察庁に送致され、その後24時間以内に10日間(その後更に10日間の延長が可能)勾留するための手続がなされる可能性があります。
勾留期間満了時までに検察官は起訴するか否かを検討し、起訴された場合には裁判が開かれます。
一方で、身柄事件にする必要がない事件については、基本的に在宅事件として捜査が進みます。
在宅事件は、身柄を拘束されずに捜査が進むため、出頭を命じられた日以外は基本的に通常通りの生活を続けることになります。
警察官(司法警察員)は証拠を収集した後、事件の証拠等の書類を検察庁に送致します。
これが、俗に言う書類送検です。
書類送検を受けた検察官は警察官等から送られた書類を検討したうえで必要に応じて追加で証拠を集めるなどし、最終的に起訴するか否かを検討します。
在宅事件では身柄を拘束されずほぼ通常通りの生活が出来るため、弁護士はいらないのではないかと思う方も居られるようです。
しかし、在宅事件であっても捜査は進められている可能性はあるため、いつのまにか書類送検されていた、いつのまにか起訴されていたということも考えられます。
そのため、在宅事件であっても、早急に事件を弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、書類送検前の事件についても書類送検後の事件についても、対応しています。
神奈川県横浜市中区にて、護身用ナイフを所持していたことで銃刀法違反などの罪に当たり書類送検される可能性があるという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。