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被害者が加害者に?① | コラム | 刑事事件の弁護士なら横浜の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所

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被害者が加害者に?①

被害者が加害者に?①

当初被害者という立場だったにもかかわらず、その後の行動により事件の加害者にもなるというケースで、「暴行罪傷害罪」等について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。

【ケース】
神奈川県川崎市宮前区在住のAは、川崎市宮前区内の会社に勤める会社員です。
ある日Aは酒を飲んだ帰りに同僚らと駅を目指して歩いていたところ、反対側から千鳥足の若者VがAの近くに寄ってきてAの肩にぶつかり、Aの胸倉を掴んで「ぶつかってきて挨拶もなしかよ。ふざけんじゃねーぞ」と怒鳴りつけました。
AはVの手を払って遠ざかろうとしましたがVは再びAの方向に歩いてきたため、Aは近くにあった居酒屋ののぼりを取って柄の方をVに向かって突き付けたところ、Vの目に当たりVは大けがを負いました。

Aの同僚が通報して臨場した川崎市宮前区を管轄する宮前警察署の警察官は、Aに傷害罪の被疑者として任意で取調べを行うことにしました。

≪ケースは全てフィクションです。≫

【暴行罪・傷害罪について】

暴行罪傷害罪という罪については、ご存知の方も多いでしょう。
暴行罪傷害罪の条文は以下のとおりです。
刑法208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
刑法204条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ケースについて検討してみましょう。
まずAは、Vから肩をぶつけられました。
これについては、仮にVが故意に(わざと)ぶつかったのであれば、暴行罪が成立します。
しかし、ぶつかる意思はなく単に千鳥足だったためふらついてぶつかってしまったという程度であれば、暴行罪は成立しません。
但し、それにより怪我をした場合には過失傷害などの罪が検討される可能性もあります。

次に、AはVから胸倉を掴まれました。
これについては、暴行罪が成立します。
暴行罪というと殴る蹴るといった行為をイメージしがちですが、判例は「暴行とは、人の身体に対する不法な攻撃方法の一切をいい、その性質上傷害の結果を惹起すべきものであることを要せず、着衣をつかみ引っ張るなどは暴行に当たる。」と判示しています。(大判昭8・4・15刑集12・427)

一方で、Aが居酒屋ののぼりを持ってVに突き刺した行為についても当然罪に問われます。
結果としてVは大怪我を負っているため、傷害罪にあたるでしょう。

【正当防衛と過剰防衛】

正当防衛という言葉についても、ご存知の方は多いことでしょう。
正当防衛の条文は以下のとおりです。
刑法36条1項 急迫不正の侵害に対して、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

つまり、正当防衛の定義に当たる行動については、たとえ暴行罪や傷害罪などの罪に当たる行為であっても(構成要件に該当する行為であっても)罰しないとされているのです。(違法性阻却事由)

ただし、ケースのように絡まれたり胸倉を掴まれたりしたことに対し、のぼりの柄のように硬い物を顔や目に突き刺すような行為は、防衛目的とはいえ過剰であると言えるでしょう。
この場合、過剰防衛と評価される可能性が高いです。
過剰防衛の条文は以下のとおりです。

刑法36条2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

つまり、過剰防衛と評価された場合には罪に問われますが、情状によっては罪を軽くしたり罰しないという判断を下すことができるのです。

正当防衛や過剰防衛は判断や評価が難しく、刑事事件や少年事件を専門とする弁護士に相談することが望ましいと言えるでしょう。
神奈川県川崎市宮前区にて、暴行罪傷害罪被害者だったはずが加害者にもなってしまったという方、自身の行為が正当防衛や過剰防衛に当たるのかといった疑問をお持ちの方がおられましたら、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご相談ください。

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横浜支部 支部長 弁護士
國武 優

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