【報道】監護者性交罪とは
- 2022年7月6日
- コラム
【報道】監護者性交罪とは
神奈川県内での監護者性交の報道をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説いたします。
【報道】
自宅で当時15歳の養女に乱暴したとして、監護者性交罪に問われた神奈川県内在住の男(44)の初公判が5日、横浜地裁(鈴木秀行裁判長)であり、男は起訴事実を認めた。
起訴状などによると、男は養女が小学3年の頃から元妻と3人で暮らし始め、今年3月、自宅で養女に乱暴したとされる。
検察側は冒頭陳述で、男が成長した養女に性的興奮を感じていたと指摘。
養女は仕返しをおそれ、誰にも相談できなかったという。
男は被告人質問で、養女との関係性などについて問われ、「嫌がっているとはまったく思わなかった」と述べた。
弁護側は、男が被害者らに謝罪文と慰謝料を送ったとした。
(7/6(水) 7:34配信 読売新聞オンライン引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/a9981f675837a4611e5bf301ed836d973e3cc90e)
【監護者性交の罪】
監護者性交罪は、平成29年の刑法改正により新設された条文で、以下のとおり規定されています。
刑法179条2項 18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした者は、第177条の例による。
刑法177条 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
監護者性交罪は、
①被害者が18歳未満
②加害者が監護する者である
③影響力に乗じて性交等を行う
場合に成立します。
①については、報道によると被害者が当時15歳だったということから、当てはまりません。
②については、「養女」という標記であり具体的な関係性は不明ですが、実子ではないにせよ連れ子などが考えられます。
監護者とは、保護者-被保護者の関係、つまり生活指導や財産管理など生活全般を監督する者を指します。
実子だけでなくても、実質的な保護者の立場にあれば、監護者性交罪のいう監護者に該当します。
③については、例え監護者の立場にあったとしても、何らかの理由で別れて暮らしている等実際に影響力の及ぶ状況でなければ、成立しません。
報道を見る限りでは、被告人は被害者と元妻と3人で生活していたとされているため、同居の監護者ということになり、影響力はあったと考えられます。
監護者性交罪は、刑法179条2項で「刑法177条の例による」と規定されているため、成立した場合には「5年以上の有期懲役」に処するとされています。
そして、監護者性交罪が強制性交罪と異なる点は、「暴行又は脅迫」を用いることなく成立するという点です。
つまり、被告人が被害者に対して暴行や脅迫を用いずとも、①②③の要件を満たした場合には、監護者性交罪が成立します。
令和2年版の犯罪白書によると、令和元年の監護者性交等の検挙件数は87件でした。
もっとも、監護者性交罪の場合は密室で発生した事件であり、報道の被害者のように「仕返しが怖い」という場合が少なくないでしょう。
87件というのは、氷山の一角の可能性が高いと言えます。
他方で、密室で発生した事件であるからこそ、客観的な証拠が少なく、被害者の供述が極めて重要になります。
過去には、被害者の供述の信用性に疑いが生じ、無罪と言い渡された事例もありました。
捜査機関としても、慎重に証拠を収集することになり、事件発覚から検挙までに時間がかかることも少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、監護者性交罪のような厳しい刑事処罰が見込まれる事案についても、弁護経験があります。
神奈川県内で、監護者性交罪の嫌疑をかけられている、あるいは家族が監護者性交罪で逮捕されたという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
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