保釈の時期について①
- 2020年8月16日
- コラム
保釈の時期について①
本日は自宅に放火する、いわゆる現住建造物等放火罪について、明日は我が国の保釈可能時期の違いなどについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県川崎市多摩区在住のAは、川崎市多摩区内の会社に勤める会社員です。
Aには妻Xがいたのですが、ある日Xが浮気をしている可能性があると感じ、その動向を探ったところ、実際に不倫相手がいました。
そこで怒ったAは、Xを自宅から追い出した上、自宅のガスコンロに着火し食用油を撒くことで、自宅を燃やしました。
着火後Aは自宅から脱出して逃げ、通報を受けて駆け付けた消防隊員によって鎮火されたため死傷者はでなかったのですが、Aは臨場した川崎市多摩区を管轄する多摩警察署の警察官により現住建造物等放火罪で現行犯逮捕されました。
Aの家族はAが逮捕されたと聞き、すぐに保釈は出来ないのか、依頼した刑事事件専門の弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【自宅に放火した場合の罪】
ご案内の通り、故意に火をつける行為を放火と呼びます。
では、放火はどのような場合でも同じ罪になるのかというとそうではなく、その客体(火をつけた物)が何かによって法律をが異なり、当然法定刑も異なります。
まず、客体が建物か、建物以外かで分かれ、建物であれば建造物等放火罪に、建物以外の物であれば建造物等以外放火罪となります。
次に、建造物放火罪の場合には、放火した段階で人が住居として使用している又は現に人がいる建物であれば現住建造物放火罪という罪になり、人が住んでいない且つ人がいない建物が客体であれば非現住建造物等放火罪という罪になります。。
ケースでは、Aの自宅をAが放火していることになりますが、自宅とは言え人が住んでいる建物に火をつけたことになるため、現住建造物等放火罪が適用されます。
現住建造物等放火罪の条文は以下のとおりです。
刑法108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
現住建造物等放火罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」とされていますが、これは殺人罪同様の重い罪です。
現住建造物等放火罪ではケースのAのように誰もケガしていないという場合も考えられますが、人が住んでいる家や人がいる建物に放火する行為は、客体となる建物や近隣の建物に燃焼して多額の財産や利益が失われるだけではなく、その場にいる人を死傷させる可能性すらある、極めて危険な行為であることは言うまでもありません。
そのため、法定刑も殺人罪と同様の厳しい刑が用意されています。
なお、被害者を殺害する意思をもって放火をした場合には、現住建造物放火罪のみならず殺人罪で起訴されることになります。(観念的競合)
現住建造物等放火罪で起訴された場合、裁判員裁判になります。
裁判員裁判では職業裁判官のみならず一般市民も有罪無罪の判断及び量刑についての判断に加わるため、職業裁判官のみで判断を下す場合に比べて厳しい刑を言い渡される可能性があります。
令和元年の犯罪白書によると、平成30年中の裁判員裁判(一審判決)で現住建造物等放火罪での判決は99件で、全部執行猶予になった事件は46件、3年以下の実刑は9件、5年以下が22件、7年以下が16件、10年以下が3件、15年以下が2件、20年以下が1件となっています。
【日本での保釈について】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの刑事事件に携わってきていて、保釈についても数多くの経験を有しています。
神奈川県川崎市多摩区にて、御家族の方が自宅に放火するなどして現住建造物等放火罪で逮捕され、保釈について知りたいという方は、まずはあいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
ご連絡先:0120-631-881