児童ポルノ所持で家宅捜索
- 2023年1月18日
- コラム
児童ポルノ所持で家宅捜索
児童ポルノを所持していた場合に問題となる罪と、捜査の一環として行われる家宅捜索について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県茅ヶ崎市在住のAさんは、茅ヶ崎市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは、SNSを通じて知り合った茅ヶ崎市在住の中学2年生(14歳)の男子児童Vさんとメッセージをやり取りする仲になりました。
メッセージは次第に性的な内容を含むものになり、流れの中でVさんが「僕のオナニーみたい?」と問われ、Aさんは自分が要求しなければ問題にならないだろうと考え、「送りたかったら送って良いよ」と言い、実際にVさんは陰部が映るようなアングルで自慰を撮影した数秒の動画をAさんに送りました。
暫く経った後、Vさんの保護者はVさんがわいせつな動画を送っていたことを知り茅ヶ崎市内を管轄する茅ヶ崎警察署に相談し、茅ヶ崎警察署員は捜査の結果Aさんが被疑者であると判断しました。
Aさんはある日突然、茅ヶ崎警察署の警察官が自宅に来て家宅捜索が行われたため、家宅捜索がどのようなものか、今後自身は逮捕されるのか等を不安に思い、弁護士による無料相談を受けました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【児童ポルノ所持について】
今回、Aさんは14歳であるVさんの自慰を撮影した動画を所持していたことが問題となります。
我が国では、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下、「児童買春・児童ポルノ処罰法」と言います。)によって、以下のとおり児童ポルノを定義し所持等を規制しています。
児童買春・児童ポルノ処罰法
2条1項 この法律において「児童」とは、18歳に満たない者をいう。
2条3項 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録…に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
1号 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
(以下略)
そして、Aさんのように児童ポルノを所持していた場合には、以下のとおり処罰規定が設けられています。
児童買春・児童ポルノ処罰法
7条1項 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者…は、1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第2条第3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。
【家宅捜索について】
警察官等の捜査機関が捜査を行う際、多くの事件で行われるものの1つに家宅捜索が挙げられます。
家宅捜索は、捜査機関が証拠物や被疑者を特定する目的で、人の身体、物又は住居その他の場所について調べる「捜索」と、捜索した証拠物を押収する「差押え」という2つの側面を有する捜査活動です。
捜査機関は予め裁判所に令状を請求し、裁判官によって発布された令状(通常は「捜索差押許可状」という書類が用いられます。)に基づき家宅捜索を行います。
令状が発付されている以上、家宅捜索を拒むことはできず、警察官等の家宅捜索を妨害した場合には公務執行妨害罪に問われることもあります。
家宅捜索で押収されるものは、主として
・犯行に使われた凶器、所持が禁止されている薬物や拳銃等
・犯行当時に着用していた衣服や靴
・スマートフォンやパソコンなどの電子端末
などが挙げられます。
これらは、捜査のために捜査機関で保管されるほか、電子端末については解析が、薬物の場合は科学捜査研究所での成分分析が行われます。
家宅捜索の対象は被疑者の自宅等のほか、車の中や勤務先などで行われる場合もあります。
なお、家宅捜索を行う場合には立会人が必要、押収した証拠は「押収品目録」に記載する等の細かなルールがあり、そのルールに反して家宅捜索が行われた場合、当該証拠品は裁判で証拠として採用されないおそれがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所では、児童ポルノの所持などの性犯罪事件を数多く取り扱ってきた実績があります。
神奈川県茅ヶ崎市にて、児童ポルノ所持で家宅捜索を受けた方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部にご連絡ください。
事務所にて、無料相談を受けることができます。
家族が児童ポルノ所持などの罪で逮捕・勾留されている場合はこちら。