人身事故は放っておくと前科になる?
- 2023年8月16日
- コラム
人身事故は放っておくと前科になる?
車やバイクなどを運転していたところ歩行者などを死傷させてしまった場合に問題となる罪と、いわゆる前科との関係について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横浜市保土ヶ谷区在住のAさんは、横浜市保土ヶ谷区の会社に勤める会社員です。
Aさんは事故当日、車を運転して帰宅していたところ赤信号を見落としてしまい、横断歩道を横断していた歩行者Vさんに接触し、Vさんは骨折しました。
Aさんの通報により臨場した横浜市保土ヶ谷区を管轄する保土ヶ谷警察署の警察官は、Aさんを在宅捜査することにしました。
Aさんはいわゆる自賠責(自動車損害賠償責任保険)だけでなく対人対物無制限の任意保険にも加入していたことから、弁護士に依頼するまでもないと考えていたところ、その後取調べを受けた担当検察官から「検討するけど罰金になると思う」と説明を受け、前科を回避する方法があるか、弁護士に相談しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【人身事故について】
Aさんは、車を運転していたにも関わらず、進行方向の信号機を見落としてしまい、その先を歩いていた歩行者Vさんに接触したという事故を想定しています。
このように、車両の運転手の不注意によって事故を起こし被害者が怪我をしたり死亡した場合、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)が問題となります。
自動車運転処罰法5条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
【人身事故は任意保険だけでは不十分?】
自動車やバイクを運転していた際に被害者が死傷するいわゆる人身事故を起こした場合、以下の3つの責任が問われます。
民事上の責任…怪我をしたり死亡したりした人の治療費や入院費、休業補償、破損した車やバイクなどの修理費
行政上の責任…運転免許停止や取消しといった公安委員会の処分
刑事上の責任…不注意により事故を起こしたことについて刑事裁判で責任を問う
車やバイクを運転する方の多くは、強制加入である自動車損害賠償責任保険だけでなく、保険会社が提供する任意保険に加入していることでしょう。
しっかりとしたプランであれば、対人対物無制限で事故後の費用負担はない、ということもあります。
そのため、保険会社が対応してくれているだろうと安心してしまい、何の対応も必要ないと勘違いされる方も多いようです。
しかし、前科を避けたい方については、それでは不十分である場合がほとんどです。
そもそも任意保険は、それに加入していなかった場合、人身事故の被害を受けた被害者から治療費や慰謝料で高額な損害賠償請求を受ける可能性があります。
しかし任意保険に加入することで、それらの金額を保険会社が一部または全部を負担するという仕組みです。
ところが刑事上の責任については、被害者の損失が補填されたという点で一定の評価はされるものの、だからといって不起訴処分にするという訳ではなく、被害者が軽傷であっても略式手続により罰金刑が言い渡される場合がほとんどです。
この刑事上の責任を問われない(つまり、不起訴を求める)ためには、別途被害者との間で示談交渉を行い被害者が加害者に対して刑事処罰を求めていないことを主張したり、結果的に事故は生じたものの加害者とされる者に「過失(不注意)」がなかったことをしっかりと主張していく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、これまでに数多くの交通事件・事故の弁護活動を行ってきました。
とりわけ国家資格をお持ちの方、公務員の方、上場企業にお勤めの方にとっては、前科がつくかどうかというのは極めて重大な関心事でしょう。
神奈川県横浜市保土ヶ谷区にて、人身事故を起こしてしまい、前科を避けるための弁護活動について知りたいという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部の弁護士による無料法律相談をご利用ください。