女性が加害者の淫行事件
- 2020年6月29日
- コラム
女性が加害者の淫行事件
淫行事件のなかでも女性が加害者になる場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
~事例~
神奈川県三浦市に住んでいる会社員の女性Aさんは、年下の男の子に興味を持っていました。
Aさんは、SNSを通じて男子高校生であったVさん(高校1年生)と知り合うと、神奈川県三浦市にある自宅にVさんを呼ぶようになりました。
そして、Vさんが性行為に興味があることを知ると、2人で性行為をするようになりました。
しかしある日、Vさんの両親がVさんの外出頻度や外出先、連絡を取り合っている相手を不審に思い、Vさんを問い詰めたところ、Aさんとの関係が発覚。
Vさんの両親が神奈川県三崎警察署に相談したことをきっかけに、Aさんは淫行事件の被疑者として逮捕されてしまいました。
Aさんの家族は、Aさんが淫行事件を起こして逮捕されたと聞き、非常に驚き、弁護士にどうしてよいのか相談してみることにしました。
(※令和2年6月16日産経新聞配信記事を基にしたフィクションです。)
・淫行事件は何罪?
ニュースなどではよく「未成年との淫行」と報道される淫行事件ですが、成立する犯罪の名前は「淫行」ではなく、各都道府県の青少年保護育成条例違反となっていることが多いです。
各都道府県には、18歳未満の青少年が健全に成長できるように保護するための青少年保護育成条例が定められており、その中に18歳未満の者との「淫行」を禁止している条文があることが通常です。
神奈川県で定められている「神奈川県青少年保護育成条例」でも、18歳未満の者との「淫行」を禁止する条文が定められています。
神奈川県青少年保護育成条例第31条第1項
何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
神奈川県青少年保護育成条例では、この「みだらな性行為」や「わいせつな行為」についても条例内で詳しく定義づけています。
神奈川県青少年保護育成条例第31条第3項
第1項に規定する「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、同項に規定する「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的恥悪の情をおこさせる行為をいう。
簡単に言えば、結婚前提のいわゆる真剣交際を除いた関係での性行為は、神奈川県青少年保護育成条例のいう「みだらな性行為」や「わいせつな行為」に当たると考えられます。
今回のAさんとVさんは、SNSで知り合ってから交際を経ずに性的関係を持っているようですから、真剣交際の上での性行為とは言い難いでしょう。
そうなると、Aさんの行為はこの「みだらな性行為」「わいせつな行為」=「淫行」に当てはまると考えられます。
なお、青少年保護育成条例の条文を見て分かるように、「淫行」は青少年と「みだらな性行為」や「わいせつな行為」をするだけで成立するものです。
つまり、青少年側が進んで行ったことであったり、青少年側がその行為に同意していたりしても「淫行」となるのです。
・女性が加害者の淫行事件?
淫行事件のような性犯罪は、男性が加害者、女性が被害者というイメージが強いかもしれません。
しかし、神奈川県青少年保護育成条例の条文を見ていただければ分かるように、「淫行」の条文では、加害者と被害者の性別に限定がありません。
ですから、条文に当てはまるケースであれば、当然、今回のAさんのケースのような女性が加害者で男性が被害者の淫行事件も起こり得ますし、加害者も被害者も男性同士もしくは女性同士といった同性同士での淫行事件も起こり得ることになります。
刑事事件では、世間一般に浸透しているイメージとは異なる事件が起こることもままあります。
そうした場合、なかなか刑事事件の手続きや流れ、見通しが想像しづらくて混乱してしまうこともあるかもしれませんが、そういった時こそ刑事事件の専門家である弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、淫行事件をはじめとする性犯罪のご相談・ご依頼も受け付けています。
0120-631-881では初回無料法律相談や初回接見サービスのお申込み・お問い合わせをいつでも受け付けていますので、まずはお気軽にご相談下さい。