覚せい剤取締法違反事件で保釈を求めたい①
- 2020年5月27日
- コラム
覚せい剤取締法違反事件で保釈を求めたい①
覚せい剤取締法違反事件で保釈を求めたい場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【事例】
神奈川県茅ヶ崎市に住むAさんは、数年前からインターネットを通じて覚せい剤を購入し、自分で使用していました。
しかしある日、Aさんが覚せい剤を購入していた売人が神奈川県茅ヶ崎警察署に逮捕されたことをきっかけとしてAさんにも捜査の手が伸び、Aさんも覚せい剤取締法違反の容疑で逮捕されることとなりました。
Aさんの家族は、突然の逮捕に驚き、どうにかAさんの身柄解放ができないかと困っています。
そこで、Aさんの家族は覚せい剤使用事件にも対応している弁護士に相談し、保釈も見据えた身柄解放活動を開始してもらうことにしました。
(※この事例はフィクションです。)
【覚せい剤取締法違反】
覚せい剤は、使用すると気分が高揚したり頭が冴えたりする感覚があることから、いわゆる「ハイになる」といったアピールをされることもあります。
また、食欲を減退させたり睡眠欲を減退させたりする症状もあることから、「ダイエットに効果がある」「勉強に役立つ」といった謳い文句で覚せい剤の使用を勧誘されることもあるようです。
しかし、ご存知の方も多い通り、覚せい剤は、使用することはもちろん持っているだけでも犯罪となる違法薬物です。
そして、覚せい剤の使用を続ければ、他の違法薬物同様、依存してしまったり、肝機能や腎機能、精神に異常をきたしたり、心不全等を誘発してしまったりという健康被害も考えられることから、覚せい剤に関わらないようにすることがまずは1番大切と言えるでしょう。
それでも覚せい剤に手を出してしまった場合、覚せい剤使用によって受けた被害への対応だけでなく、刑事事件と刑事事件化したことによる周囲への影響への対応もしなければならないことになります。
覚せい剤についての規制や刑罰については、覚せい剤取締法という法律で定められています。
覚せい剤取締法第41条の2
第1項 覚せい剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
覚せい剤取締法第41条の3
第1項 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
第1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
※注:覚せい剤取締法第19条
左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。
第1号 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
第2号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
第3号 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
第4号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
第5号 法令に基いてする行為につき使用する場合
今回のAさんは個人で使用する目的で覚せい剤を所持・使用していたため、覚せい剤の単純所持と使用による覚せい剤取締法違反に問われると考えられます。
なお、営利目的での覚せい剤所持の場合、個人で使用する目的で持っていたというような単純所持よりもさらに重い刑罰が設定されていることには注意が必要です。
覚せい剤を所持していた量等によっては、単純所持であっても営利目的での所持を疑われることもありますから、弁護士の助言を受けながら取調べなどに対応していくことが求められます。
こうした覚せい剤の所持・使用に関わる覚せい剤取締法違反事件では、今回のAさんのように逮捕・勾留された上で捜査されることが非常に多いです。
というのも、覚せい剤自体は例えばトイレに流してしまうなどすれば簡単に隠滅できてしまう物である上に、覚せい剤の購入ルートなど関係者が多いことから口裏合わせやデータの消去をされてしまえばそちらの証言や証拠も正確に得られないというおそれもあるからです。
こういった事情から、覚せい剤取締法違反事件では逮捕・勾留をされることが多く、さらには起訴される前の捜査段階では、なかなか釈放が認められないのです。
しかし、裁判が終わるまでずっと身体拘束をされているとすれば、少なくとも数ヶ月は外部と自由に連絡も取れない状況となってしまいます。
そうなれば、就学先や就業先にも大きな影響が出てしまいますし、家族にも大きな負担がかかってしまうでしょう。
だからこそ、覚せい剤取締法違反事件では、保釈を求めていくことが重要となってきます。
保釈については、次回の記事で詳しく取り上げます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部では、覚せい剤取締法違反事件のご相談・ご依頼にも、刑事事件専門の弁護士が対応いたします。
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