家庭内暴力(DV)事件で逮捕されてしまった
- 2021年11月24日
- コラム
家庭内暴力(DV)事件で逮捕されてしまった
家庭内暴力(DV)事件で逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
~事例~
神奈川県川崎市川崎区に住んでいるAさんは、日常的に妻や子供に対して暴力をふるう、いわゆるDVをしていました。
Aさんの妻や子供は、Aさんからの暴力で怪我をすることもありました。
Aさんの妻や子供は、これ以上のDVに耐え切れないと神奈川県川崎警察署に相談。
その結果、Aさんは神奈川県川崎警察署に逮捕されることとなりました。
Aさんの両親は、Aさんが家庭内暴力によって逮捕されたということを聞いて驚き、弁護士に相談することにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・家庭内暴力(DV)
近年では、家庭内暴力やDVに対する近年の社会的関心も高まり、ここ20年ほどで家庭内暴力(DV)を禁止することなどを内容とする児童虐待防止法やDV防止法、高齢者虐待防止法なども制定されました。
こうした立法や社会的関心の高まりもあり、児童相談所などと警察が連携して家庭内暴力(DV)や児童虐待などの防止を図る活動もかつてに比べて活発になったと言われています。
家庭内暴力(DV)とは、家庭内での家族に対する暴力的行為や言動を意味します。
具体的には、物理的な暴行によって家族の身体に危害を加える行為や、器物損壊行為、建造物損壊行為、相手に罵詈雑言を浴びせる行為などが挙げられます。
今回の事例のAさんのように、家族に対して手を挙げてしまう行為は家庭内暴力(DV)に当たります。
ここで、「子供に対して手を挙げたのはしつけのためだ」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、民法では親から子に対して懲戒する権利を有する=「懲戒権」を持っていることが規定されています(民法第822条)。
しかし、この「懲戒権」は子供の利益に必要な範囲であることをその行使の条件としています。
つまり、「懲戒権があるからしつけにどんな方法を取ってもよい」というわけではなく、懲戒権を理由に過度な暴力をふるうことは許されません。
特に、今回のAさんの事例のように、子供を殴ったりするなど直接的に暴行を加えた場合は、刑法上の暴行に当たり暴行罪(刑法第208条)として処罰される可能性が高くなります。
刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
さらに、今回の事例では、Aさんの妻と子供はAさんの暴行によって怪我を負っているようです。
こうした場合には、暴行罪にとどまらず傷害罪(刑法第204条)となる可能性が出てきます。
刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は暴行罪の結果的加重犯です。
結果的加重犯とは、犯罪行為をした際に予想していたよりも結果が重大であった場合でも、その結果について責任を問うという考え方です。
例えば、暴行罪と傷害罪の場合、単に暴行をするという故意だけ持って相手に怪我を負わせる故意はなく暴行をしたとしても、相手が怪我をする(相手を傷害する)という予想以上に重い結果が発生すれば、暴行の故意=暴行罪の故意があるだけで傷害罪について問うということになります。
こうした家庭内暴力(DV)による刑事事件では、加害者と被害者が同じ家庭内にいるという特徴から、加害者と被害者の接触を避けるべく、逮捕・勾留といった身体拘束をした上で捜査されるケースも多いです。
加害者とは別に、被害者も支援施設やシェルターなどで保護されるケースもあります。
被害者がいる刑事事件では、示談などによって被害者への謝罪や賠償をすることも重要な活動の1つとなりますが、家庭内暴力(DV)による刑事事件でもそれは当てはまります。
しかし、上記のように、家庭内暴力(DV)による刑事事件の場合、加害者と被害者が同じ家庭内にいるという事情もあり、捜査中に両者の接触を避けるという意味では、直接両者がコンタクトを取ることはなかなか難しいことであるでしょう。
だからこそ、第三者である弁護士を介入させて交渉を行うメリットが生まれます。
また、今後の処分を決定するにあたり、家庭内暴力(DV)が再び起こらないようにする環境づくりも必要です。
加害者自身やその周りの人の協力のもと、弁護士のサポートを受けながら今後についても対策を立てることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合補率事務所横浜支部では、家庭内暴力(DV)によって逮捕されてしまったというご相談・ご依頼も受け付けています。
まずは0120-631-881までお問い合わせください。