刑の減軽①
- 2020年9月29日
- コラム
刑の減軽①
刑の減軽について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【ケース】
神奈川県横浜市泉区在住のAは、定年を迎え、子供たちも独立して妻と二人で穏やかに暮らしていました。
しかしあるとき、突然横浜市泉区を管轄する泉警察署の警察官から電話がかかってきて、息子を強制性交の疑いで逮捕したと言われました。
詳細が何もわからず、どのように対処すればよいか分からなかったAは、刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
≪このケースはフィクションです。≫
【強制性交等罪について】
刑法第177条
「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする」
強制性交等罪には、「5年以上の有期懲役」という非常に重い罰則が規定されています。
刑法第25条の刑の全部の執行猶予の条文では、特定の者が「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」の言い渡しを受けたときに刑の全部の執行猶予の可能性があると規定されています。
では、今回の事例のように「5年以上の有期懲役」が法定されている強制性交等罪では、執行猶予判決となることはないのかというと、そうではありません。
刑の減軽がなされると、今回の強制性交等罪のように「5年以上の有期懲役」と法定されている場合でも執行猶予の可能性がある「3年以下の懲役」が言い渡されることもあるのです。
【刑の減軽の方法について】
法律上の刑の減軽事由がある場合の減軽の方法については、刑法第68条に規定されています。
第68条
法律上刑を減軽すべき1個又は2個以上の事由があるときは、次の例による。
1.死刑を減軽するときは、無期の懲役若しくは禁錮又は10年以上の懲役若しくは禁錮とする。
2.無期の懲役又は禁錮を減軽するときは、7年以上の有期の懲役又は禁錮とする。
3.有期の懲役又は禁錮を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
4.罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
5.拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
6.科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。
では、今回のAのように、強制性交等罪で裁判となってしまった場合に刑の減軽事由が一つあった場合についてあてはめてみましょう。
まず、強制性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」となっておりますので、刑法第68条3号の「有期の懲役」の場合となります。
そして、「その長期及び短期の2分の1を減ずる」とあります。
刑法第12条に有期懲役は「1月以上20年以下」とするとありますので、条文上に「5年以上の有期懲役」とある強制性交等罪の有期懲役刑の範囲は「5年以上20年以下の懲役」ということになります。
この長期及び短期の2分の1を減ずるとありますので、刑の減軽がなされた場合、その言い渡しは「2年6月以上10年以下」の範囲での懲役刑ということになります。
このように刑の減軽がなされると、「5年以上の有期懲役」が法定されている強制性交等罪でも、「3年以下の懲役」の言い渡しを受ける可能性があり、執行猶予の獲得は不可能ではないのです。
ただ、実際に刑の減軽がなされる場合は法律に規定されています。
次週は強制性交等罪の際に考えられる刑の減軽事由について見ていきましょう。
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