器物損壊罪で故意否認
- 2020年9月5日
- その他の刑法犯事件
器物損壊罪で故意否認
器物損壊罪の嫌疑(容疑)をかけられたものの、故意がないとして否認する場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県座間市在住のAは、座間市内の会社に勤める会社員です。
Aは会社での賃金が2ヵ月支払われておらず、その際に経営者Vは「翌月までには纏めて払えるよう手配する。」と約束したにも関わらず、その月も賃金が支払われませんでした。
そのため、Aは他の社員を代表して直談判を行うべくVの部屋に行き、交渉を行いました。
その際、ヒートアップしたAはVの机を叩きました。
後日、Aが机を叩いたことによりVの机に置いてあったノートパソコンが故障したとしてVが座間市を管轄する座間警察署に相談をしました。
Aは、自身の行為が器物損壊罪にあたるのか、弁護士に質問しました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【器物損壊罪について】
他人の物を壊した場合に問題となる罪として、器物損壊罪が挙げられます。
器物損壊罪の条文は以下のとおりです。
刑法261条 前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
なお、刑事事件と民事事件は異なります。
刑事事件で不起訴・無罪になった場合でも、加害者側に落ち度があると認められた場合などには別途民事での請求をされる可能性があります。
【故意とは?】
故意について問題となる条文は以下のとおりです。
刑法38条1項 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りではない。
故意には、確定的故意と未必の故意があります。
確定的故意は明確な意思に基づいて行ったという場合の意思を指し、未必の故意は「行動の結果そのような結果を引き起こすかもしれない(罪となるべき事実の認識予見)」という場合の意思を指します。
日本の刑事事件では、別途条文がある場合(例えば、過失がある場合でも処罰をする規定がある過失傷害罪や人身事故など)を除き、故意なくしてしまった行為は処罰されません。
器物損壊罪には過失犯処罰規定などが存在しないため、故意があったと認められなかった場合には、刑事罰には問えないということになります。
【故意否認で弁護士へ】
故意を否認するような主観の問題については、捜査機関は客観的な証拠を探すとともに被疑者自身の自白を取りたがろうとすることが懸念されます。
よって、取調べにて、例えば威圧的な態度で自白を引き出そうとしたり、被疑者の考えを無視して「要するに貴方が言いたいことはこういうことでしょう。」と言って重要な部分での主張を聞き入れられなかったり、ともすれば「自白しなければ貴方にとって不利になる。認めればことは大きくならない」などと言って被疑者を追い込むことも考えられます。
このように故意を否認する場合、本人にとって有利になる事情などを確認し主張していくほか、事件当時の状況を纏めた弁護人面前調書を作成するなどの弁護活動を、早い段階で行うことが望ましいと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当法人の弁護士はこれまで故意否認での弁護活動の経験があり、実際に嫌疑不十分などの不起訴処分を獲得したこともございます。
神奈川県座間市にて、器物損壊事件の嫌疑をかけられていて故意を否認する弁護活動について知りたい場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。