交通事故の道路交通法違反(報告義務違反)事件
- 2021年10月2日
- コラム
交通事故の道路交通法違反(報告義務違反)事件
交通事故の道路交通法違反(報告義務違反)事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説します。
【刑事事件例】
神奈川県大和市に住むAさんは,運転していた乗用車をVさんの住宅の玄関などに衝突させ,警察に通報せずに車を捨ててそのまま逃げました。
Vさんはドンという衝撃音に気付き,神奈川県大和警察署に110番通報しました。
その後,神奈川県大和警察署の警察官が臨場し,乗り捨てられた車のナンバーなどから捜査がされ,Aさんは道路交通法違反の容疑で逮捕されました。
(2021年3月30日にSTVNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【道路交通法違反(報告義務違反)とは】
道路交通法72条1項
交通事故があつたときは,当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は,直ちに車両等の運転を停止して,負傷者を救護し,道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において,当該車両等の運転者(運転者が死亡し,又は負傷したためやむを得ないときは,その他の乗務員。以下次項において同じ。)は,警察官が現場にいるときは当該警察官に,警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所,当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度,当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
交通事故を起こした場合には,乗用車の運転者には,直ちに最寄りの警察署の警察官に,交通事故について報告しなければならないという報告義務が課せられます。
報告する具体的内容は,「当該交通事故が発生した日時及び場所,当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度,当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置」です。
道路交通法109条1項
次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
10号 第72条(交通事故の場合の措置)第1項後段に規定する報告をしなかつた者
報告義務に違反した場合,そして,上記報告義務に違反した場合には,「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」が科せられます。
刑事事件例では,Aさんは物損事故(交通事故)を起こしたのにも関わらず,警察署の警察官に対する交通事故の報告をしていません。
よって,Aさんには,道路交通法違反(報告義務違反)の罪が成立すると考えられます。
【道路交通法違反(報告義務違反)事件で逮捕されたら】
刑事事件例では,Aさんは道路交通法違反(報告義務違反)事件で逮捕されてしまっています。
道路交通法違反(報告義務違反)の物損事故を起こした場合において,刑事弁護として行うことができる活動のひとつに,道路交通法違反(報告義務違反)事件の被害者の方との示談交渉があります。
これは,道路交通法違反(報告義務違反)事件の起訴・不起訴処分を決める検察官は,被害者の方との示談が成立しているかどうかという点を重要視するからです。
示談交渉では,被害者の方の示談金の支払能力や,被害者の方の処罰感情・気持ちなどのバランスを取る必要があります。
また,道路交通法違反(報告義務違反)事件においては,被疑者の方が任意保険に加入している場合もありますので,事件の事情に合わせた対応を行っていくことになります。
道路交通法違反(報告義務違反)事件で逮捕されてしまった場合は,加害者弁護を行う刑事事件に強い刑事弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部は,刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
道路交通法違反(報告義務違反)事件を取り扱った経験のある弁護士も多数在籍しています。
道路交通法違反(報告義務違反)の容疑で逮捕された場合は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部までご相談ください。