車を貸して取調べ?
- 2020年10月9日
- コラム
車を貸して取調べ?
車を貸しただけで問題となる罪と、在宅で取調べを受ける場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部が解説致します。
【ケース】
神奈川県横須賀市在住のAは、横須賀市内の会社に勤める会社員です。
ある日、Aは友人Xから「自動車を貸してくれないか」と依頼されました。
Xからはアルコールの匂いがしていて呂律も回っていなかったため、Aは「飲んでいるのか」とXに問うたところ、Xからは「少しだから検査にも引っかからないだろうし、大丈夫だよ」と回答しました。
それを受けてAは「ぶつけたりしたら弁償しろよ」と言って、Xに自動車のキーを貸しました。
数時間後、横須賀市を管轄する田浦警察署の警察官がAの自宅に来て、Xに車を貸さなかったかとの質問をしました。
Aが貸したと回答したところ、XがAの自動車で飲酒運転をした結果人身事故を起こしてしまい、被害者は死亡したと聞かされました。
Aは任意で出頭して警察署で取調べを受け、酒気帯び運転の幇助の嫌疑で在宅捜査を受けることとなりました。
≪ケースは全てフィクションです。≫
【車を貸して罪に?】
自動車に乗っていて事故を起こしたりお酒を飲んで運転していた場合に刑事事件になることはご案内のとおりです。
では、車を貸しただけでも罪に当たるのでしょうか。
以下で検討していきます。
・無免許運転の幇助
免許を持たない相手に対して車を貸した、あるいは借りるための手伝い(レンタカーの会員証を貸した、あるいは自身で借りて無免許の者に運転させた等)をした無免許運転の幇助に当たります。
この行為は道路交通法64条2項に違反します。
道路交通法64条1項 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで…、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
2項 何人も、前項の規定に違反して自動車又は原動機付自転車を運転することとなるおそれがある者に対し、自動車又は原動機付自転車を提供してはならない。
同117条2の2 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2号 第六十四条(無免許運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該自動車又は原動機付自転車の提供を受けた者が同条第一項の規定に違反して当該自動車又は原動機付自転車を運転した場合に限る。)
・酒気帯び運転・酒酔い運転の幇助
酒を飲んでいる人に自動車を貸した場合、酒気帯び運転や酒酔い運転の幇助に当たります。
いずれも飲酒運転と呼ばれている事件ですが、どちらに当たるのかについては運転していた者から検知されたアルコール濃度や受け答え、歩行検査などにより判断されます。
道路交通法65条2項 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。
同117条の2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2号 第六十五条(酒気帯び運転等の禁止)第二項の規定に違反した者(当該違反により当該車両等の提供を受けた者が酒に酔つた状態で当該車両等を運転した場合に限る。)
【在宅事件での取調べについて】
刑事事件では逮捕されて取調べをうける身柄事件の印象が強いかと思いますが、刑事事件の半数以上は在宅で捜査がなされています。
在宅で捜査される場合、基本的には自宅にいていつもどおりの日常生活を送っていただくことが出来ますが、警察署や検察庁に呼ばれた日には出頭して、取調べを受けることになります。
在宅事件の場合どうしても緊張感がなくなってしまう方もおられますが、最終的に在宅事件で書類送検され、検察官が必要と判断した場合には起訴することができます。
また、起訴された場合、裁判の内容次第では実刑判決を受けることもあるのです。
そのため、在宅事件であっても取調べは重要です。
神奈川県横須賀市にて、無免許の相手や飲酒している相手に車を貸してしまい、在宅で取調べを受けることになった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所横浜支部に御連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で御相談を受けることが出来ます。